■奥村誕のお祝いコメント!
・・・お誕生日おめでとうございます!!奥村兄弟!!あなた達に出会えたことに感謝します。そしてあなた方を生み出した原作者様に感謝します。
厳しいお立場の二人ですが、これらも末永く幸せに、共に時を刻んで欲しいと切に願っています。


サプライズ誕生会U


「ええか。サプライズは生モノや。前回のこともある。細心の注意を払うんや、ええな?」
「「おー」」

12月の中頃を過ぎたある日の放課後、いつぞやの放課後の様に円陣を組み、一致団結をする塾生たち。
以前と違うのは、そこにあの料理上手の悪魔がおらず、前回の主人公だった麻呂眉の少女と、露出度が高い女教師が加わっていることだった。

事の始まりは一昨日の放課後になる。
授業が終了し、各々寮へ帰宅しようと荷物を整理している時だった。
料理上手の悪魔・奥村燐が数冊の雑誌を手にして、京都三人組の元へ走り寄って来た。

「なぁなぁ。ちょっと聞きてぃことあんだけど、いいか?」

燐は手に持っていた各雑誌のあるページを開き、机の上に並べた。
ページには、色鮮やかなクリスマスパーティー用レシピが掲載されていた。

「なんや、奥村君。クリスマスパーティーでもするん?」
「そういえば、この前の誕生日会で『毎年クリスマスと誕生日を一緒に祝う』って言ってたもんねぇ」

それは、燐が主導で作った誕生日ケーキの試作品が、クリスマスケーキになっていたことで知った話である。
奥村兄弟は、自信たちの誕生日がクリスマスに近い為、長年、クリスマスケーキを誕生日ケーキだと思い込んでいたのだった。

「で、クリスマスの料理本並べて、何が聞きたいねん?」

仏教徒である自分たちに、クリスマスの何を聞きたいのかと勝呂は問いた。

「あ、やっぱりこれクリスマス用なんか。ウチじゃ誕生日会用の料理だったんだよ」
「え?マジで?」

問いた勝呂は黙ったが、三人とも再び奥村兄弟の勘違いに驚かされた。

「じゃぁ、誕生日って本来どんなことすんだよ」
「別にこれといってしなあかんことはないと思うけど・・・」
「いつもよりちょっぴり食卓が豪華になるぐらいやで」
「お互いの好きなもんを揃えたら、それでええんちゃうか?お前、肉が好きなんやろ?」
「おお!スキヤキ!!とびっきりいい肉な!!」

一昨日の放課後はこんな感じで、燐は三人に感謝してにこやかに帰宅したはずだった。
それが一変して、今日の燐はどこか元気が無い。
隣の席に座っている天然ボケのしえみにさえ、『どうかしたの?』と気遣う程、覇気が無かった。
「とびっきり良い肉、断られたん?」と志摩が軽いノリで問うと、「まぁ、そんな感じだ」といつも太陽みたいに笑う彼の印象とは逆の寂しそうに笑った。

「今年は誕生会すんのやめになったんだ。ほ、ほら、雪男ってなんか忙しいやつじゃん?今年は二人だけだし、パーティっていうのは違うっていうか・・・」

聞いたわけでもないのに、慌てて理由を説明する様は、イタズラが見つかって言い分けをしているようだった。

「でも、燐すっごい楽しみにしてたんじゃ」
「あ、うん。・・・でも、あいついつ任務入るかわかんないし」

しえみに本心を突かれて、燐の言葉に力が無くなった。

「そんなん、あの先生やったらいつもの事やろ?そんなんお前、わかってたんとちゃうんか?」
「分かってた。毎年のことだし」
「えっ?毎年って、奥村君ところの誕生日・・・じゃなくて、クリスマスと合同パーティーやったっけ?毎年先生おらんかったってこと?」
「ジジィも雪男も忙しかったから、日付を決めずに、二人が揃ったらやってたよ。今になって分かったけど、雪男は中ニから祓魔師として働いていたし、その前は弁当持って祓魔塾に行ってたんだ。・・・だから、毎年12月の末になったら準備だけして、二人が揃ったらって感じで」
「でもそれやったら、料理はどないしてたん?急な任務が来たら、キャンセルだってあったってことやろ?ケーキなんて生ものやし」
「スキヤキの肉とお刺身用の魚とケーキは、パーティーが決まってから買いに行くことにした。他はいつもとかわんないから、別に困らなかったし」
「ちょっと待ってよ。それって、誕生日会なのに主催と主役の片方がドタキャンしてたってこと?その間、あんた何してたのよ」

謎の多い奥村兄弟の話題を後ろの方で聞いていた出雲つい、口を挟んだ。

「何って、別に。二人が忙しいのはいつものことだし、普通に後で温めて食べ易い晩飯作ってた」

か、甲斐甲斐しいヤツっ・・・。

そうであった。奥村燐という男は、その身は魔神の落胤でありながら、自分を蔑ろにされてもそれを恨むようなことはなく、むしろ、愛する人の為ならば、自分を差し出すこと厭わない人だった。
話を聞いていた塾生は、皆瞬時に自分に置き換えてみた。
自分が双子で、誕生日会の準備はするものの、双子の片割れの都合でキャンセルさせられる。唯一の親の都合でキャンセルになることを。
皆が急にだんまりになったのが気になったのか、顔色を変える燐に志摩が気づき、慌てて言葉を紡いだ。


next


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -