■奥村誕のお祝いコメント!
奥村兄弟誕生日おめでとう…!何年先も一緒にお祝いさせてください。


勉強or添い寝?


 俺たちの部屋は、ぶっちゃけ寒い。

「兄さん、自分のベッドに戻ってくれないか。……それとも、今から勉強する?」
「やだ。寒い」

 窓際の机は、すきま風で足元がとにかく冷える。だからここから離れて勉強なんて冗談じゃない。ちょうど枕元にあった雑誌をぺらぺらとめくりながら、歯が鳴らないように口を開いた。

「なあ雪男、誕生日プレゼントって、何がほしい?」

 俺の問いかけに、雪男は椅子から振り返って俺を見下ろす。

「とりあえず今すぐそこから退いて、僕のSQを汚さないで読んでくれないかな」

 俺が今いるのは雪男のベッドの上で、部屋が寒いので布団を肩にかけてSQを読んでいた。早く最新号でねえかな。って、
「いや、そーじゃなくて。誕生日の話してんだよ」
 なんで今の頼み事を聞いてやらなきゃないんだ。あと今日は汚してないし。ていうかそれって誕生日プレゼントじゃない。
「マジメに聞けよ。俺だって真剣に話してるんだから。……たしかに、俺のこづかいは月2000円だからたいしたもんは用意できないけど」

 雪男がはぁ、と盛大なため息を吐く。雪男のそんな態度に、俺もSQを置いて毛布を頭からすっぽりかぶりなおした。寒い。

「じゃあ僕も真面目に言うけど、僕は兄さんに物をもらおうなんて思ってないよ。お金で買えるものは兄さんにはまず買えないだろうからね」

 ぐっ、一気に聞きたかったことを粉砕されてしまった気分だ。がっくりする俺に、

「だいたい、なんで急に誕生日プレゼントなんだ。今までそういうこと聞いてきたことってなかったじゃないか」
 更に雪男が追い打ちをかけてくる。
「あ、んと。それは……」

 そう言われると、確かに今まで誕生日プレゼントなんてやったことないし、もらったこともない。でも、今年はやっぱり……。

「いいから、俺に出来ること! 今じゃなくて誕生日にやれることをなんでもいいから言ってくれよ」

 それでも食いつくと、雪男は仕方なくといった顔で「それじゃあ」と誕生日にしてほしいことを口にした。

「真面目に勉強するか、……でなければ添い寝でもしてもらおうかな」

 添い寝……?


「っつーわけで、お前らに聞きたいんだけどさ」
「俺はなんにも聞かん!」

 耳をふさいでぶんぶん首を振る勝呂。なんかしたのか?

「なあ、勝呂どうかしたのか? 俺まだ相談したいこと言ってないのに」
「坊のことはそっとしといたげてください。奥村先生のイメージ壊されたないだけやから」

 勝呂の代わりに答えたのは子猫丸だ。

「雪男のイメージ?」
「あの若さで称号2個持ってる奥村先生は坊の一目標ですから、お兄さんに添い寝迫ったなんて思いたないんです」
「添い寝ってなんや……? 勉強と天秤にかけられるもんなのか」

 勝呂の呟きは、まさに俺の知りたいことだった。

「それ、やっぱり添い寝って、あの添い寝だよな?」
 俺の問いに、
「いっしょに寝る以外の添い寝はしらんですわ」
それまでニヤニヤ話をきいていた志摩が答える。
「てことは、やっぱり雪男、そういう意味で言ったんだよなぁ……」
 これはものすごく困った。
「何を悩むことがあるんや。真面目に勉強すればええだけやろ。むしろ添い寝を選ぶ理由がわからん」
 ようやく復活したらしい勝呂に言われるけど、
「はぁ? マジメに勉強なんて無理に決まってんだろ」
「奥村くんならそう言う思った。俺も、相手がべっぴんのお姉さんやったら勉強より添い寝とるわ」
「お前らまとめてアホか! どこからそんなお姉さんが出てくるんや。あと奥村、無理と決めつけず勉強しい。期末テストの度に杜山さんの料理出てくるんやぞ」


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