■奥村誕のお祝いコメント!
雪男も燐もお誕生日おめでとう!!
私の願いは二人がずっとずっと幸せに笑いあって生きていてほしい!
ただそれだけです!(*´∇`*)
生まれてきてくれてありがとう!ありがとう!!


君の瞳に!


23日の祝日は一日かけて必需品の買い出しや部屋の掃除。24日のクリスマスイブは兄さんとケーキや料理を作ったりプレゼントを交換したりして、25日のクリスマスは塾の皆とクリスマスパーティーをした。26日は終業式で学校が早めに終わった兄さんは早々に勝呂君達と一緒に買い物へ、僕は任務に出かけていた。

そして、27日。

12月27日は僕らが生まれた日。僕と兄さんが初めて地上で出会った日。
この日はなんとしても二人で過ごそうと何日も前から予定を調整してあるし、兄さんには内緒でお金を切り詰めて買ったプレゼントもささやかではあるが用意している。更に言えばこういう日にしたい、なんてプランのようなものもこっそりあったりする。…これはほんと”出来れば”の話なのだけど。夜に兄さんが用意してくれるであろう美味しい料理を二人で囲んで、お腹がいっぱいになったらプレゼントを渡して、それからまた色んなことを話して。それから、それから……。

そういうわけでとにかく僕は浮かれていた。修道院を出て初めての誕生日。正真正銘二人っきりの誕生日だ。むしろ浮足立たない方がおかしいとも言える。だから前日のうちにやるべきことは全部済ませておくなど気合い十分で当日に臨んだ。

「雪男!見てみろよ!雪降ってんぞ!雪!」
「ん、ん……うん……?」
「ほら、いつまで寝てるつもりだ!早く起きて飯食おうぜ!」
「えっ、い、今何時!?」
「何時って……もうすぐ10時だけど」
「えええええ!!?何でもっと早く起こしてくれなかったの!?」
「だ、だってお前すっげー気持ち良さそうに寝てたから起こしづらくって」

何をそんな必死になってんだよ…。と、燐が戸惑いがちの目で雪男を見ている。燐からすれば疲れている弟を寝かせてやろうと気を使ったつもりなのだろうが、雪男にとってそれは残念ながら有難迷惑となってしまっていた。
一気に覚醒した雪男は慌ててメガネをかけて辺りを確認する。窓からは眩しい光が射していて、燐が言った通りはらはらと雪が降っているのが見えた。自分達の誕生日に雪が降ったのはいつぶりだろう。寒さで反射的にぶるりと震えた体を縮こまらせながら雪男はベッドから這い出た。

「折角色々計画してたのに…」
「計画?何を?」
「…何でもないよ。さぁ、ご飯食べに行こっか。兄さん僕が起きるの待っててくれたんでしょ?」
「当たり前だろ。洗い物いっぺんにやっちまいてぇし」
「んー…そこはもうちょっとさぁ…」
「…?お前まだ寝ぼけてんのか?」

雪男の口ごもる言葉の意味を理解できなかった燐は首をかしげた。この顔は何も理解していないという顔だな、とほんの少し落胆しつつグンと大きく背伸びをした。成長期でまだまだ伸び盛りな雪男が背伸びをするだけでも燐にとってはなんだか自分の持っていないものを見せつけられているようで。

「…よっし!んじゃ食堂まで競走な!よーい…」
「え、ちょっ…!!?」
「どん!!!」
「う、わっ待ってよ!!…つか、廊下を走ったら危ないだろバカ兄!!!」

気に入らなかった燐はそれでも楽しそうに笑いながら、雪男はそんな燐に意表を突かれながらも二人は誰もいない廊下へ飛び出した。

「うっわまじ寒ぃな…!!」
「だからやめておいた方がいいって言ったのに…あーもー鼻が冷たい…」

着地点が地面でなかろうが何だろうがしんしんと降り続ける雪を追って雪男は空を見上げた。折角燐の作ってくれた朝食をお腹いっぱい食べたりのんびり話をしたりで体がほこほこ温まったというのに、何を思ったのか突然外へ行こう!と言い出した燐に連れてこられた結果がこれだ。寒い。心底寒い。半ば強制的に連れ出されたとはいえ、雪男はコート一枚しか羽織って来なかったことを悔やんだ。外気の入ってこれる隙間という隙間を全て塞ぐことができたらどんなにマシか。
特に何をするでもなく、ただただ浅く積もった雪をぎゅっぎゅと踏んで歩く燐の背中を見て雪男は溜息を吐いた。

「ブッ!!?」
「ぎゃはははは!!油断してっからだよ!次行くぞー!」

視界が一瞬にしてホワイトアウトした雪男は、何を言うでもなくそっとメガネを外して雪を払い落とす。
燐は次なる雪玉を作りながらもそんな雪男を見て内心既にひやひやとしていた。てっきりいつものように怒ってくるかと思っていたのに。

「…おいそこのバカ。メガネはやめろってあれだけ言ってあっただろ…っ!!」
「ぎゃあっ!!?」

いつの間にこしらえたのだろうか。沢山の雪玉が燐の顔面めがけて発射される。中には思いっきり握りこんで作られたとてつもなく硬い雪玉が足に当たったりもして相当痛い。兄に対して容赦がない。

「兄さんが僕に勝とうだなんて1億光年は早いんだよ!!」
「んだとおおおお!!?メガネのくせに!!メガネのくせに!!」
「メガネは関係ねーだろっ!!!」
「ホクロ!!メガネ!!」
「黙れよ!!!」

投げて避けてぶつけて騒いで。いつ以来かもわからない雪合戦に身を投じた二人はそれはそれは夢中になっていた。燐はともかく雪男も真剣に興じるほど。さっきまできっちり着込んでいたコートも今は玄関に二人分置かれている。


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