■奥村誕のお祝いコメント!
 奥村兄弟おめでとう!!!そして、生まれてきてくれてありがとう!!!
 二人とも大好きだー!
 こんな素敵な企画を計画して下さった主催ゆ様、刃様ありがとうございます!
 存分に、他の参加者様の作品を味わいたいと思います(^q^)
 ありがとうございました^^


「プロポーズ」


「なぁなぁ、塾の皆でクリスマスパーティーせぇへん?」

街中がクリスマスを意識し始める12月初旬。
ちょうどその日は雪男の“対・悪魔薬学”の授業があり、俺は寝ぼけて「スキヤキ!?」と叫んだ罰として、ありえねぇ程の課題をくらったところだった。

「はい、奥村くん。明日までに終わらせるように」

口調は穏やかだけど、長い付き合いだから、雪男が怒っている事ぐらいは分かる。

「にしたって、多すぎねぇ?明日までとか、終わるわけねぇじゃん」
「兄さんが授業中に寝るからでしょ?毎日11時間は寝てるはずなのに……何でそう眠くなるの?」
「だってさ、こんなに字が並んでるのを見たら……誰だって眠くなるだろ?」
「ならないよ。大体、塾の授業だけじゃなくて、普通科の授業の時だって寝てるんだろ?各教科の先生方と休み
時間に会う度に報告される、僕の身になってよ。その度に兄さんの所業について、謝ってるんだから」

やれやれ、と言わんばかりに雪男はため息をつく。
さすがに、それは兄貴として申し訳ないような気がして、雪男のため息が俺の良心に突き刺さった。

「う……っ。そ、それは悪かったな」
「悪いと思うなら、もう少し真面目に勉強してよ」
「こ、これでも俺は真面目にやってるつもりなんだよっ!」
「はいはい。分かったから、とりあえず僕の授業だけでもちゃんとして」

山のような課題を目の前に突き出す雪男。
俺はしょんぼりと肩を落として、嫌々ながらも受け取った。確かに、うっかり寝てしまった俺が悪い。これでも一応、聖騎士を目指している身としては迂闊だった。いずれは雪男を追い抜いて、出世する予定なのに。

「――今に見てろよ、雪男!ぜってぇ、お前をぶち抜いてやるからな!」
「はいはい。出来ないと思うけど、一応応援してあげるよ」
「何だよ、その言い草は!?お前はもうちょっと、兄ちゃんを敬え――!」

と、こんな具合に、俺たちがいつものように言い合いをしていた時だった。
パンパンパン、と誰かが手を叩いたのは。

「はいはいはい、仲ええのは分かったから。そこまでにしとってー」

いつもの二倍は輝いていそうな笑みを浮かべ、志摩は口にする。

「なぁなぁ、塾の皆でクリスマスパーティーせぇへん?」
「何やお前、ずっとそわそわしとると思ったけど、そんな事考えとったんか」

呆れたようにそう言うのは、勝呂だ。
すでに次の授業の準備が出来ているようで、机の上には教科書とノートが広げられている。

「お前、クリスマスの前にやる事あるやろ?そんなんで、期末、大丈夫なんか?」
「それに僕ら、一応仏教徒ですよ?」

志摩の頭の悪さは、すでに実証されている。
しかも、子猫丸の言う通りだった。

「いややわぁ、子猫さん。今時、そんなんないわ」
志摩はさりげなく勝呂の隣に腰を下ろし、少しずつ勝呂との距離を詰めていた。
「仏教徒でも、クリスマスくらい普通やろ。キリストの生誕祭やのうて、最早立派な行事になってるやん。一般家庭かて、別にキリストを祝ってる訳やないしな」
「まあ、確かにな。日本人の大半にとっては、ただの行事や」
「さすが、(俺の)坊!よう分かってくれてはるわ」

志摩は小さく“俺の”と付け加えたけど、勝呂には聞こえてなかったらしい。
もしくはスルーしたのかも知れねぇ。
そのどちらなのかは俺には分からねぇけど。

「……もうそんな時期か」

思わず、俺の口からはそんなセリフがこぼれる。
去年のクリスマスからもう一年も経つんだなと思うと、懐かしさが胸に込み上げてきた。去年の今頃は父さんもいて、慎ましやかだったけれど、修道院の皆と一緒にクリスマスパーティーもやった。あの時はまさか、父さんと過ごす最後のクリスマスになるとは思っていなかったけれど。
ちらりと雪男に視線を向けると、俺の視線に気づいたようで、雪男がにっこりと笑った。


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