誓いー其の1ー

 



「晋作!?」


俺を見た小五郎が、驚きに目を見開く


「どうした?幽霊でも見たような目して」


ニカッと笑う俺に、小五郎の顔はほんの少し和らいだ


「身体……いや、晋作にしては、早起きだね?」

「そうか?」

「あぁ、今日は槍でも降るかも知れないな」

「何だそれはっ!!と、小五郎……優羽はどこだ?」

「優羽さんなら、庭にいるんじゃないかな?」

「そうか、ちょっと行って来るな」


「あぁ………」




―桂 小五郎―




短く返事をして、晋作の背中を見送った


「っ………」


何時もと何ら変わりの無い笑顔
それでも、張りの無い声
頬はこけ、目ばかりが大きく、やせ細った身体は骨ばっていた



『2、3日も保つか……』
医者の言葉が頭を廻る

(夢か……?)


つい、2日前の晩とうとう死の宣告を受けた、私のかけがえの無い友
大きな志を共に掲げ、支え合ってきた同士

そして

(優羽さんの、想い人………)


その背中は、ここ数日の中で一番元気良く駆けて行く

(何故……どうして、あいつ何だ!!?)

変われるものならば、変わってやりたい。幾度と繰り返したか分からない願い
遠くから響く、優羽さんの驚きに満ちた声

私の胸を締め付け、暗い闇へと落としていく

(置いて逝かないでくれ……誰より、あの娘にはお前が必要なのだよ……)






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