恋の行方ー運命の悪戯1ー
《キーンコーンカーンコーン………》
校内に響き渡る鐘と同時に、教室に飛び込んむ私と琉夏
「おはよう。今日もギリギリだったね」
席に着くと、前の席のかなちゃんが振り返って笑う
「優羽がぐずぐずしてるからだぜ」
深い溜め息混じりに言う琉夏に、私は口を膨らませる
「気に入らないなら、先に行けば良いのに」
「まぁまぁ、優羽を置いて行くなんて三井君には出来ないでしょ」
からかう様に、かなちゃんが言う
「………」
かなちゃんの言葉に、琉夏は、無言でそっぽを向いた
「ふふっ……」
琉夏の耳が、真っ赤なのを見て、思わず笑いが込み上げる。
(何だか、新鮮だな……)
総司君の居ない時代で、総司君とは似ても似つかない人と一緒に居る
完全にふっきれた訳じゃない。それでも、『待ってる』と言ってくれた琉夏。その気持ちが温かくて、嬉しくて、琉夏のそばに居る事を決めた……
(琉夏と居たら、きっと忘れられる……)
「……る?ちょっ……優羽!!」
「えっ!?何?かなちゃん」
「だーから!!今日、うちのクラスに転校生が来るらしいよ」
「転校生が?こんな時期に珍しいね」
「でしょ?それがさ、めちゃくちゃイケメンらしいよ」
「イケメンって……どこからの情報なのよ」
かなちゃんの言葉に、半ば苦笑しながら話し込んでいると、担任が教室に入ってきて、教室がしずまり返る
「あぁ、今日は転校生を紹介するぞー」
朝の挨拶もそこそこに、先生はそう言って、廊下で待つ転校生を手招きする
興味の無い私は、窓から見える空を眺めていた
(あの頃見た空は、もっと青が澄んで綺麗だったな………)
くすんだ空が思い出させる、遠い昔の記憶……
「……いね?」
かなちゃんの声に引き戻され、前のかなちゃんを見ると、少し興奮してる様子
「目の保養になるよねー」
「何が?」
かなちゃんの言ってる事の意味が分からなくて、聞き返すと、呆れた顔で大袈裟に溜め息を吐く
「だーから、転校生!!これだから彼氏持ちは、嫌だよ」
やれやれと言った感じで言われ、私が前を見ると丁度転校生が自己紹介をしている所だった
「…………です」
《ガタガタッ!!》
「優羽……?」
突然立ち上がった私に、教室中の注目が集まる
「須崎どうした?」
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