別れ

 



「愛してる……」

そうやって、何度も君と口付けを交わした
優しく……時に強く抱き合った
何度も……何度も………

記憶の中の君は、何時も笑顔で……
なのに、今目の前にいる君は……

「泣かないで……?」

涙を拭おうとした僕の手を、勢いよく払い僕を真っ直ぐ見据える

「……って……」

「……ごめんね?」

もう、君の願いを叶えてあげられない

「何で……?どうしてっ!!!!?」

「君を、守りたかったんだ………」

何を思うより先に、身体が動いてた
刀を抜く余裕すら無かった

「優羽……」

最後の力を振り絞って、抱きしめたその身体が、悲しみに震えている

「君の幸せを……願ってる……」

「無理だよ……総司君が居てくれなきゃ……幸せになんかなれないよっ!!!」

「ごめ……ん………」

もう、その涙を拭う事すら出来ない
抱きしめていた筈の身体に、いつの間にか支えられている

「今まで、ありがとう……」

目が霞んで、愛しい顔を捉える事も出来ない

(潮時……かな……)

唇が動かなくなる前に………
最期に伝えたい言葉を、必死に絞りだす

「き……み……愛してる……」



ねえ……お願いだから……

君は、僕を……忘れて………?


君を、悲しみで………

僕という存在で………

縛り付けたく無いんだ…………


君の幸せを……ずっと祈ってる

あの空の向こうから…………



さよなら……僕の




『愛しい人…………』





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