短編 | ナノ


▼ 凛と彼女ちゃん

私には付き合っている人がいます。
名前は松岡凛。
小学六年生の頃に転校してきて、告白されたと思ったらオーストラリアに転校しちゃって、年末だけ会ってた中学三年間の遠距離恋愛を経て高校に上がって最近日本に戻ってきた恋人です。

「遅ぇ、タラタラ歩いてんじゃねぇよ」

「はーい」

ツン成分が些か多い気もしますが、ツンでれなのです。可愛いやつめ。

「何でお前の買い物なんて付き合わねぇといけねぇんだ…」

ぶつぶつ言ってますが凛くんが本気で怒ってるわけじゃないってことはちゃんとわかっているのです。
証拠に凛くんはちゃんと歩く速度を私に合わせてくれているのですから。

「凛くんと一緒に買い物デートしたかったんだ」

「デ…!?」

凛くんはうぶです。
デートとか恋人らしい単語を出しただけで顔を赤らめて逸らすのです。

「……勝手に言ってろ」

「じゃあ勝手に言うね、凛くんとお出かけとか久しぶりだから嬉しいんだ」

これは本音です。
ずっと遠距離だったからお出かけなんて滅多にできなくて、できても凛くんが帰ってきた年末だけだったから凄く嬉しいのです。

「今日は凛くん好みの服とかリサーチするぞー」

「そんなもんお前が何着ても変わらねぇだろうが」

「変わらなくてもやっぱり好きな人にはもっと好きになってもらいたいじゃん」

そう言ったら凛くんは顔を赤くして俯いてしまった。

「…知るかよ」

「知ってよー」

ふふ、と笑いながら気分に合わせて弾むように歩く凛くんを少し追い抜いてみると、ぱしっと手首を掴まれた

「そんなにフラフラ歩いてると迷子になるぞ、俺から離れるな」

凛くんは可愛いです。
でも、可愛いのにやっぱりカッコイイからこういう不意打ちでカッコイイことを言われると弱いのです。

「凛くんはずるいねぇ」

「お互い様だ」
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