want me

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暗く静かな室内。照らす光を見つめカタカタとキーボードを打つ細く長い指。




一際大きな音でキーを叩くと隣から聞こえてくる短い欠伸。




欠伸の主をちらりと伺うと前のめりな体を机から起こし目を擦る沖田がいる。



「ねぇ、一くんもう終わった?それ」




光を放つ正方形の画面を覗き込み目を細めた。




「あぁ、今まとめ終わった」



提出用のデータを保存しページを閉じると隣にいる沖田を横目にカーソルを下ろしシャットダウンをクリックする。



カチリと小さく薄暗い室内に音が響く。




「はぁ、ほんとに土方先生って人使い荒いよね。資料作成なんて自分でやればいいのにさ」




総司は机に突っ伏し皮肉たっぷりに口元を尖らせ、唯一シャッターの閉まってない窓を見ている。




細まる瞳からはきっとその奥を見ているのだと分かる。



「クリスマス...なのにね」



総司の言う通りだった。



窓の外から見える街路樹や一軒家はキラキラと光り、ライトアップされた店、ちらほらと点のように見えるカップル達。




薄暗い室内にその鮮やかさはとても疎外感を増幅させるものだった。




パソコンの光りも其を手伝うかの様に静かに暗く電源を落とす。



「すまないな...」



時計を見ると暗くてはっきりは見えないが短い針は8と9の間で停まっている。



「なんで一くんが謝るの?別に悪くないよ一くんは...悪いのは土方先生でしょ」




「総司、余り土方先生を悪く言うのはよせ。あの方だって色々と忙しいんだ」




外のイルミネーションを見つめていた総司の肩が俺の言葉にピクリと揺れるとこちら側に向いた。



鋭く細められた視線は刺すように斎藤を捕らえ口元に弧を落とす。



「前からそうだけどさ...一くんのそういう所、凄くムカつく」




気づいた時にはその伸ばされた腕が強引に斎藤の体を捕らえる。



「おい、総司っ...」



動こうとしても前には長方形の机に後ろには繋がった長い腰掛け、造りは視聴覚室だ。




動きにくいのは当たり前で引寄せられては身動きが取れない斎藤は腰に絡む腕を掴むしかない。




遂には相手の力に押し負けて膝に無理やり乗せられる。




沖田の配慮からか机の角にぶつけないように腰から胸部まで凭れる形で回された腕に固定された。




余りの近さに沖田の肩を押すが離れるどころか、小さく笑みを浮かべて唇を寄せた。



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