主より!

広告裏の告白



薄紅に色付いた木々を部室の窓からのんびり眺めるのもなかなかに風流だ

涼風は汗を流した後の身体を肌寒いくらいに冷やすが、風邪をひかない程度なら許されるだろう


窓枠に肘をついて微風に頬をさらしていた大鷲は、自然の腕に抱かれた野生の眺望に今更ながら心奪われていた


だからだろう、物音も密やかに一人しかいないはずの空間に踏み込んできた人物に、微塵も気付きはしなかった


「……何してるんだ?」

「わっ」


唐突に生まれた気配とかけられた声に、大鷲は短く驚きの声をあげた

肩越しに振り向くと、緑色の髪をした見慣れた姿がそこに立っていた


「香芽先輩」

「名前で呼べ、名前で」

「じゃ、レオン先輩。帰ったんじゃなかったんですか?」


どうやら自分の名字を気に入っていないらしいレオンに応え、大鷲は素直な疑問を投げかける

対するレオンはそれがまた気に入らなかったのか、眉根を寄せてあからさまに不機嫌な様相を作った


「いたら悪いか」


腕を腰に当てて軽く睥睨され、大鷲はすぐさま否定の意を込めて首を振った


「そういう意味じゃないです、ただ部活はもう終わったしなぁ、って」


向き直り少々早口で弁明する

するとレオンは何故か開きかけた口を閉ざし、視線を斜め下に逸らした


まるで何か後ろめたいことでもあるかのような態度に、大鷲は首を傾げる


「レオン先輩?」


レオンは応えない

静まり返った部室内には、虫と烏の鳴き声、そして葉ずれの音だけが響く


何となく気まずい沈黙に、大鷲が焦燥感を募らせ口を開きかけたときだった


「……待ってたんだよ」


ぼそり、

どことなく投げやりな口振りだった


「え?」

「だから、待ってたんだよ!お前が一人になるのを」


レオンは半分ヤケになって声を張った

大鷲は再び首を傾げる


−−待っていた?


わざわざ自分が一人になるのを、部活が終わってから……いや、もしかしたらその前からずっと?


「何でですか?」


思考しても答えに辿り着けないときは、直ぐに浮かんだ疑問符を問いにしてみると決めている

とらえようにようによっては、真面目に思考していないともとれる


そんな大鷲の態度に、レオンは拳を握りしめて俯き、わなわなと震えだした


「レ、レオン先輩?」


平常でないレオンの様子に、大鷲は辟易して手を差し伸べようとした

が、


「〜〜っ!!!」


レオンはふいにがばっと顔を起こしたかと思うと、未だジャージのままのズボンのポケットに手を突っ込み、引き抜いた拳を大鷲に向かって振りかぶった


条件反射で手を翳し、目蓋を閉じた大鷲の頭に何か軽い物が投げつけられ、カサリと床に落下した


「馬ーー鹿!!」


子供のような調子でそう言い残すと、レオンは勢い良く部室を飛び出して行ってしまった

一人残された大鷲は多岐に及ぶ疑問を胸中に抱いたままゆるゆると瞳を開き、足元に転がっているものを拾い上げる


「……紙?」

くしゃくしゃに丸められた色味のある紙。どうやら広告用紙のようだった


これを渡すために待ってくれていたのだとしたら、もっと丁寧にしてくれてもいいものを


そう思いつつおもむろにそれを広げ、大鷲は目を見開く


−−白紙の裏面に大きく乱暴な字体で綴られた、その文字は−−


「……全く、あの人は」


とりあえず、飛び上がって有頂天になるのは後だ

開け放たれたままのドアに手をかけ、鍵もかけないままに外へ出る


「逃がしませんよ、レオン先輩!」


今もおそらくどこかに隠れているであろうその人に、この二文字を言葉にしてもらうために

大鷲は綻ぶ口元をそのままに、足を踏み出した



−−色付いたもの、それは


すきの恋心














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我が相方、主のサイトのキリ番を偶然踏んで、主の取り扱いはイナゴだったなあと蘭拓リクしたら鷲香芽もらった(長

レオンまじかわっいいだろおいい主なんも知らないとか嘘にもほどがry

あまりにサプライズすぎてモブ動悸息切れぱねぇっす←


主どうもありがとう!家宝にするね!!