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溺愛×平凡

「柳(やなぎ)くん可愛いよ!」
目の前で満足そうに笑みを浮かべる恋人である佐渡(さわたり)の方が何十倍も可愛い。
その顔が見れただけで俺はとても幸せだ。
それが佐渡によって俺が女装をさせられてるとしても……

「今回のは随分フリフリしてるな」
「そうなんだ!今回はロリータファッション風にしてこだわったんだよ」
嬉しそうに語る佐渡の姿に本当に作るのも見るのも好きなんだなと愛おしくなる。





好きになったのは俺からだった。
よく笑う佐渡を目で追いかけるようになり、気が付けば同じ男なのに好きになってしまっていた。
そして玉砕覚悟で告白するとあっさりOKされ、驚く俺に佐渡は付き合う上での条件を出してきた。
それが女装。しかも俺に着て欲しいと。
小さい頃からお人形遊びが大好きで、小学生になってからは自分で服を作るようになり、それを近所の子にあげてたけどもうその子も大きくなって着てくれなくなったと語る佐渡に待ったをかけた。
作った服は自分で着ればいいのに、絶対可愛い!むしろ見てみたい!と自分の本音は飲み込んで聞いてみると、「俺が考えた服を着てもらうのが好きで、自分で着るのはちょっと……俺男だし……」と言われた。
俺も男だけど?同じ男である俺に着てくれって言ったよな?と頭が混乱した。
だけど「ダメかな?柳くんカッコいいからきっと女装も似合うと思うんだ……」と不安気に聞いてくる佐渡が可愛く、しかも付き合ってくれると言ってくれてるのに断る訳がなく、俺はその日から時々佐渡専用の着せ替え人形になっている。

「こんなに似合うなんて、柳くん本当最高。大好き」
「ありがとう。俺も佐渡のこと好き」
好きじゃなきゃ絶対こんなことできないが、心の底から佐渡が好きな俺はどんなに可愛いフリフリの服を渡されようが、佐渡の喜ぶ姿を考えれば自分のプライドを捨てて着替えられる。

「じゃあ柳くん、次はこっち着てみて!」
「……はい」
何を着せられようと、今日も俺の恋人は可愛くて幸せです。







補足

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