other | ナノ

殺そうとしないで

昔から僕はよく幼馴染に殺されそうになることが多かった。




幼馴染である晶(あきら)との出会いは4歳の頃、両親と共に晶の家の隣に引っ越してきたことで僕らは出会った。

引っ越し作業が落ち着いた頃に母親と一緒に隣の家に住む晶の家に挨拶に行くと、晶の母親の後ろから晶は少し顔を出し、こちらをうかがってきた。
そんな晶のことが気になって見つめていると、自然と目が合い、晶は僕を見て「かわいい……」と呟いた後、僕の手を引いて晶の家へと上げられた。
戸惑いながらも引っ張られるがまま付いていくと、晶の部屋だと思われる場所に連れて行かれた。
部屋に着くと晶はジッと僕の目を見つめて「将来おれとけっこんしてください」と言ってきた。
晶は幼いながらもすごく整った顔立ちをしていて、そんな晶からの突然の告白に僕は驚いて固まっていると、「『うん』って言ってくれないと叩く」と言って手を振り上げられた。
その時の僕は男同士で結婚できないことはもうわかっていたが、叩かれたくなくて直ぐさま「うん」と伝えると、途端に晶は笑顔になり、振り上げていた手を下ろして僕の手をギュッと繋いできた。

それからもことあるごとに、「隼人(はやと)からちゅーしてくれないと落とすよ」とジャングルジムのてっぺんに連れて行かれて落とされそうになったり、僕が他の友達と仲良くしているところを見ると「外に行くから俺以外と隼人は遊んじゃうんだ」と雪が降るような真冬に水をかけられたりした。

幼馴染からの愛は激しく歪んでおり、いつからか『何かあったらお前を殺して俺も死ぬ』とことあるごとに言われるようになった。
正直、晶のアレコレによって僕は何度も死にそうになった。
だけどなんとか死なずに済み、今日まで生き長らえている。
でもなんで毎回殺されそうになるのか僕は未だに納得できない。

「僕、晶のこと拒否したことないじゃん。殺そうとしないでよ」
「だって隼人が可愛いから」
出会いから今日まで晶のすることに僕は嫌がったり拒否したりしたことはない。
ちゃんと晶のことが好きだし、恋人として僕らはちゃんと付き合っている。
それでも晶は、直ぐに僕を殺そうとする。






補足

prev / next

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -