火の意志を継ぐ者を観て 今更パート2 シカマル+ナルト まだ恋人じゃないのです。 君の隣 「…悪かったな。」 「ん?なんだよ突然。」 卑留呼との闘いの後、一行は戒厳令も解かれ一段落ついたという報告を聞き、ゆっくり帰路についていた。 みな久々の合同任務に互いの成長を語り合い、穏やかな雰囲気だった。 そんな中、ナルトの隣を歩いていたシカマルが突然謝罪の言葉を口にしたのだ。 「お前の信念を邪魔してばっかりだったからな。」 「あぁ、そんなの。シカマルが謝ることじゃねぇってばよ!俺こそいっぱい迷惑かけてごめんな?」 ニカッと笑うナルトにシカマルは苦笑で返した。 「それに俺は感謝もしてるんだってばよ!」 「は?」 今回は完全に邪魔をする側だったのにと、シカマルは首を傾げた。 つい立ち止まってしまった二人を残し、皆は気づかず帰路を進んで行った。 ナルトはシカマルに笑顔で向き直った。 「お前が止めてくれたり、里の掟のことを言い続けてくれたから、逆にずっと俺の気持ちは揺るがずに固まっていられたんだってば。」 「ダメって言われると逆にやりたくなるってか?」 「ははっ、そうかも!みんなが来てくんなかったら絶対辿り着けなかったしな!」 そりゃ失敗だったか、とシカマルはため息をついた。 止めようとすればするほど逆に相手に火をつけていたのだ。 だがナルトは自分の信じた事しかしないので、どうあっても最初から無駄だったのかもしれない。 それに結局は皆でナルトの手助けをしていたのだから。 シカマルはそんな事を考えながら、ナルトの性格を少し忘れていた自分に呆れた。 「お前は筋金入りのわからずやだからなぁ。」 「そんなんシカマルも人のこと言えねぇだろー!」 「うるせ、今回は火影様の命令だったんだからしゃーねーだろ。」「…でもさでもさ、シカマルは俺が一番踏ん張らなきゃいけない時に背中をおしてくれたってばね。火の意志を、託してくれたってば!」 嬉しかった、とナルトは満面の笑みで礼を言う。 シカマルは何か言葉を返そうとするが、何かがつまって声がでなかった。 気恥ずかしくなってシカマルはゆっくり歩き出した。 ナルトもそれに続き、隣を歩き出した。 「…そんだったら俺も礼を言う方だ。」 「なんで?」 「大切なことを見落とすとこだった。もし、あのままカカシ先生を行かせてたら…こんな風に帰ることもできなかっただろうしな。」 それこそナルトが言ったように助かっていたとしても、カカシが犠牲になったということが重くのしかかって喜べはしなかっただろう。 全てを知ったうえで送り出したはずでも、やはり辛かった。 「だと思ったってば。」 「あ?」 気恥ずかしさで逸らしてい顔を上げると、ナルトは苦笑いをうかべていた。 「きっとシカマルのことだから、責任感じたりしちゃうんだろうなって。」 「……んなことは」 「あるってばよ。だってシカマルすげぇ悔しそうっていうか、もどかしそうだったじゃん。」 任務だからと、忍としての掟だと割り切ろうとしても、実は世話焼きで仲間を大切にするシカマルをナルトはよく解っていた。 カカシの思いを知ったうえで見送ることしかできなかったシカマルが、どれだけ辛かったかも。 どれだけ己の意志と葛藤していたかも。 「だから余計にダメだって思ったんだ。シカマルがこれからもっと苦しむってわかってたからさ。」 「…そっか。」 シカマルは優しい笑みをうかべるナルトを見つめた。 もし相手がナルトでなかったら、こんな風にはならなかっただろう。 あの場面で例え同じような言葉を口にされても、他の同期の仲間でもシカマルは全力で止めた。 それこそ殺してでも。 (我愛羅や自来也様が言っていることは…本当、よくわかるぜ。) ナルトなら信じられるという気持ちにさせてくれるし、本当に実現させる。 諦めの気持ちが皆の心を占めていくなか、ナルトだけが希望を持ち、またナルトが希望そのものだった。 「お前はやっぱすげぇな。」 「おう!そりゃ未来の火影だしな!」 「…本当にそうなるかもな。」 そう遠くない未来に目にするかもしれない、とシカマルは空を見上げた。 本当にそんな時がくるなら… 「そん時はシカマルが隣にいてくれよな。」 「…俺なんかでいいのかよ。」 「俺バカだし、シカマルが正しいことを引っ張ってほしいんだってばよ。」 「めんどくせぇ、大変すぎんだろうが。」 「ニシシッ、嫌だって言ってもシカマルにいてもらうかんな!」 「へいへい。そん時はしゃーねぇから一緒に頑張ってやるよ。」 それは前々から感じていたこと。 いつの間にか同じ夢を見たいと思うようになっていて、一緒に歩きたいと思ってしまう。 友人として、仲間として、相棒として、こ… 「んん?」 「ん?どうしたってば?」 「い、いや…なんでもねぇ。」 突然声をあげたシカマルにナルトが不思議そうな顔を向けるが、シカマルは焦りながら顔をそらしてしまった。 (ちょっと待て、今何か変なこと考えなかったか…?) 確かにナルトは大切な仲間で親友とも言える。 人としても少し面倒だが好きな奴だし、共に歩いて行きたいと思う。 それは友人として、仲間として、相棒として、恋… (待て待て待てって!なんだ最後のは!) 「シカマル?どうしたんだ、顔が赤いってばよ…?」 「い、いや、なんでもねぇっつの!覗き込むな!」 「おーい!ナルト!シカマルー!」 「あ、キバ、赤丸。」 ついつい立ち止まりながらいたせいか、随分皆と離れていたようだ。 遅い二人をキバが様子を見にきたのだ。 「ったく、何トロトロしてんだよ。」 「別にトロトロしてねぇし!ちょっと喋ってただけだってばよ。」 キバの突然の乱入にシカマルは内心ホッとしていた。 あのままだと、シカマルの態度に不審さを感じたナルトに問い詰められたことだろう。 キバとナルトは安堵の息をついているシカマルに気づかず、歩き出していた。 二人並んで。 「……。」 胸のざわつきに気づく前に、シカマルはナルトの空いていた左隣にいた。 隣を見ると、それに気づいたナルトは笑顔を返した。 (……あー…思ったよりやべぇなぁ…俺。) 今、確かにナルトの笑顔に安心し、嬉しかったのをはっきりと自覚した。 任務だけではなく、いつだってナルトの隣には自分がありたいと思っている。 (めんどくせぇ奴に捕まっちまったな…) きっとこれから今以上に面倒なことがあるんだろうと、容易に想像できた。 「…まぁ、ここを退くつもりはねぇけどな。」 「え、何だってば?」 「なんでもねぇよ、ナルト。」 気づき始めたばかりの想いを胸にシカマルはナルトに微笑んだ。 君を支え 君に支えられ 共に歩いていけるのは 君の隣にいられる 己だけの特権 (い、今のは何だってば…) シカマルは機嫌良く前を向いていたが、ナルトは優しい笑顔に高鳴った心臓と、赤みが差した顔を隠すのに必死で俯いていた。 end. 勢いで書いたので何がなにやら。 つまりはシカマルとナルトはお互いにわかりあってて、互いに支えあってるんですよね。 ナルトが引っ張ってシカマルが手綱を持つっていうか。 ラストは遊びました← 小説TOPへ TOPへ |