君が想う以上に 2年…それはどれくらいの時間があるのだろう。 数字にすれば只の2年。 365×2=730日。 730×24=17520時間… 数字の上では、それは確かにその時間でしかない。 だがそれは人生において長かったり短かったり、同じ時間でも極端なほど感覚が違ってくる。 楽しい時間は過ぎるのが早い。 対して、愛しい人を待つ時間は… 「長かったなぁ…」 ため息混じりに呟いたのは、中忍のベストがすっかり板についた奈良シカマル。 愛しい恋人が修行に出て2年。 伝説の三忍だかエロ仙人だかに連れられて行くのが、どれほど不安だったことか。 だが長い時間を経て、彼女は今日無事に帰ってきた。 「シカマル、どうしたってばね?」 隣から響く愛しい声の発信源はうずまきナルト。 キョトンとのぞきこんでくる顔は旅立つ前より大人びている。 金色の髪も随分のびて、すっかり女性になってしまっていた。 「お前が帰ってくるまで、長かったなーと思ってよ。」 ポンポンと頭を撫でるとナルトは嬉しそうに笑った。 二人は木の葉の里が一望できる火影岩の上に座っていた。 夕暮れになって、改めて二人で待ち合わせをして再会したのだ。 「……。」 「…シカマル?」 チラッと見ては空を見上げるシカマルに、ナルトは訝しげな視線を投げていた。 (…久しぶりに会えたのに…嬉しくねぇのかな…) 会えなかった2年、ナルトは寂しくて何度泣いたかわからなかった。 そのたびに自来也が叱咤したり慰めたりしたものだ。 必死に修行をして、成長した自分を早く見せたくて仕方がなかった。 だからこそ会えた時は嬉しくてしょうがなくて、今もすごく幸せな気持ちだ。 だがシカマルはチラッと見てくるだけで口を閉ざしている。 (会いたかったのは私だけかな…うぅ、悲しくなってきたってば。) 気づけばシカマルの服の袖をつかみ、涙がポロポロと落ちていた。 「お、おい、ナルト?!」 「シ、シカマルはっ…さ、寂しく、なかったってば?」 まるで子供のようだと思っていても涙は止まらない。 その姿に気づいたシカマルは困惑してしまっている。 「寂しく…なかったわけねぇだろうが。」 「だ、だって、全然こっち見てくれないし!」 顔を近づけて問い詰めるように言うと、シカマルは何かを言おうとして顔を逸らした。 「ほらぁ!何でこっち見ないってばね!ま、まさか、き、嫌いに…」 「んなわけねぇだろ!落ち着けこの馬鹿!」 ペシッと昔のようにナルトの頭が叩かれた。 シカマルは相変わらず顔を背けたまま、あ〜やらう〜やら言っている。 「…お前が…」 「なに?」 「─っお前が女らしくなり過ぎて困ってんだよ!」 あー格好悪い、とシカマルは頭をガリガリかいた。 顔は夕陽が手伝ったのか見たことがないくらい赤い。 そしてナルトも同じくらい赤くして、嬉しそうに笑った。 「ほんと?私女らしくなったってば?」 「…あぁ。最初に見た時は超ビビった。」 恥ずかしくてたまらないが、ナルトがあまりにも嬉しそうな顔をするので、シカマルも素直に答えるしかなかった。 笑うと可愛く幼さのある顔も、ふと空を見つめる横顔は大人びていて美しい。 女らしくなったというより、大人へ成長し必然的に綺麗になったとも言える。 「修行中もね、シカマルに褒めてもらえるようにって頑張ってたんだってば。」 「そっか。」 「シカマルも中忍で頑張ってるはずだから釣り合うようにならなきゃって。」 「…あぁ。」 「あ、会えた時はね、すぐシカマルだってわかったけどカッコよくなりすぎててさ、ビックリしちゃったってば!」 「な、ナル…」 「追いついたかなって思ってたけど、まだまだだってばね。私もっとシカマルに釣り合うようになるってば!」 「ストップ!」 「ふえ?」 「……勘弁してくれ。」 恥ずかしくて死にそうだ、とシカマルはうなだれた。 愛しい彼女の口から一気に出てきたシカマルに対するストレート過ぎる言葉は、シカマルでなくとも赤面するだろう。 勢いにまかせて喋っていたナルトはシカマルが真っ赤になっていたのに気づいていなかった。 その様子につられてナルトも恥ずかしくなり、顔を赤くした。 「ご、ごめんってば。」 「いや、まぁ、その…謝んなくていいんだよ。」 と言っても顔の赤みはそんなに早く消えてはくれない。 二人で赤い頭を抱えながらしばらく俯いていた。 「…ね、シカマル。」 「なんだ?」 「会いたかったってばよ。」 「……俺も、会いたかった。」 優しく肩をよせてやれば、ナルトは嬉しそうに頬をゆるめた。 何度も名前を呼び、そこにある温もりを確認するように抱きあった。 「もっと綺麗になるってばね。」 あぁ、もう。 そんなに全身で"好きだ"と言われたら 「すげぇ楽しみにしてる。」 もっと愛するしかないじゃないか end. すみません、途中から迷走した結果こんなんになってしまいましたm(_ _)m 小説TOPへ TOPへ |