迷い子 | ナノ





タイトルそのまんまですが。
※オリキャラ注意










迷い子




















「…かぁちゃ…。」

「え?」

「ふえぇぇぇぇぇぇん!」

「ぇぇぇぇぇええ!?」


木ノ葉の里に子供の鳴き声と少年の驚き声が響き渡った。











「…二人でわめくな、うるせぇだろ。」
「ちょ、シカマル冷静だな!てかいきなり泣かれたら普通にビビるってばよ!」
「かぁちゃぁ〜うぁぁぁぁぁん!」

今の状態を整理しよう。
先程驚きの声をあげた少年、ナルトはシカマルと共に街を歩いていた。
贔屓にしている甘味屋へと向かう最中だったのだ。
人混みを少し離れて歩いていると、突然ナルトの上着の裾が小さく引かれた。
何だろうとナルトが足を止め、裾を見ると小さな手。
先を辿れば少し茶色がかった金色の髪の小さな子供がいた。
髪は短く、パーカーにかからないくらいで下はジーンズはいている。
お互いキョトンとした顔で見つめ合ったところで冒頭に戻る。







「えーっと、どうしたんだ?迷子か?」
「かぁちゃ…」
「ん?」

ナルトがしゃがんで問いかけると、少年はナルトの髪を引っ張って泣き止んだ。
少年をよく見ると瞳の色は緑。
だが青みがかったようにも見える色なので、青緑というのだろうか。

「母ちゃんだと…ナルト!どこの野郎との子だ!」
「俺の子供じゃねぇぇぇ!てか俺は産めねぇってばよ!」
「かぁちゃぁ〜」
「お前も!どう見ても違うだろ!…あ、母ちゃんが金髪なのか?」

金に近い髪と、青緑の瞳を見ると親子というより兄弟に見えそうだ。
コクリと頷いた少年は母を思い出したのかまた泣きそうな顔になった。

「おいおい泣くなってば。俺達がお前の母ちゃん探してやっから!」
「俺もかよ…」
「ふざけた罰だってばよ。」
「…面倒くせぇ」

そう言いながらも泣きそうな少年の頭を撫でてやっているので、協力するようだ。

「ぼうず、名前は?」
「俺はナルト!こっちはシカマルだってばよ。」
「…ヒマワリ。」

よし、と言ってナルトは少年、ヒマワリの手をとって立ち上がった。

「ヒマワリの母ちゃん探しに出発だってばよ!」
「うん!」

















「んで、どうやって探すんだ?」
「…ぬ。」

ニコニコと笑いあう二人はなんとも微笑ましかったが、シカマルはやっぱりと溜め息をついた。

「まず、こういう色の奴は里じゃ見たことがない。」
「そうか?金髪に緑色ならイノんとこは?」
「幼なじみなめんな。あいつの一族にこんな子供見たことねぇよ。
髪もイノというかナルト寄りの色してんだろ?」

確かにイノは金髪と言っても薄く、クリーム色と言えるかもしれない。
ヒマワリは茶色がかってはいるものの濃い金色をしている。

「お前どっから来たんだってば?」
「あのね、きのう、かぁちゃんととうちゃんと、おじちゃん家にあそびにきたの。」
「木ノ葉の奴じゃないのか。」
「うん。"しのび"じゃないの。」

話を聞くとヒマワリは火の国の人間ではあるが、木ノ葉の里の者ではなく親戚を訪ねて親子で来たのだと言う。
里を見ているうちに親とも親戚ともはぐれてしまったらしい。

「そっかー。地道に探すっきゃねぇかな?」
「向こうの親も探してるだろうしな。」

めんどくせぇ、とボヤいているもののシカマルもヒマワリの手をとった。
ナルトとシカマルに手を繋がれてヒマワリも嬉しそうに笑った。

































「あぁー!ホントにナルトとシカマルが子供連れてるぅ!ナルトったらいつ産んだのよぉ。」
「なんで俺が産むんだぁぁぁ!」

三人で街中を歩いていると、イノが走りながら現れた。

「残念だが俺らの子じゃねぇよ。迷子だ。」
「なぁんだ。チョウジー、違うってさー!」
「もうイノってば…置いてかないでよ…ハァ。」

イノの走ってきた方向からチョウジもやってきた。
どうやらイノが突然走りだしたせいで置いてけぼりをくらったようだ。

「うちの常連さんがさー、シカマルとナルトが小さい子連れて歩いてるっていうからさぁ。」
「だからって何で俺が産んだとか言ってるんだってばよ!」
「ちょっとした噂になってるよ。あぁ、でもやっぱり似てる感じはあるね。隠し子?」

チョウジまで…と泣きながらヒマワリに抱きついたナルトはよしよし、と慰められた。

「こういう色した夫婦見かけなかったか?」
「うちの家系に似てなくもないけど…いないわね。」
「僕等は見なかったなぁ。」

そっか、と残念がる空気にヒマワリは不安げな顔をした。

「そんな顔すんな。」

シカマルはそんなヒマワリにポンポンと頭を優しく撫でてやった。

「大丈夫だ、もうすぐ見つけてやるから。」
「そうだってばよ。絶対俺達が見つけてやっから!な?」
「うん!」

ナルト達の笑顔に安心したのか、パッと不安げな顔はなくなりヒマワリに笑顔が戻った。
そしてまた三人で手をつなぎ、イノとチョウジに別れをつげて街中を歩きだした。








「ああしてるとさぁ。」

「うん。」

「親子みたいよね。」

「…そうだね。」























「あ!」

街中をキョロキョロ見ながら歩いていると、ヒマワリが突然走り出してしまった。

「あ、おい!」

「おわっ!?」
「うぷっ!」

ナルトが声をあげると同時に人がぶつかる音がなった。
道の角から出てきた人にヒマワリがぶつかってしまったのだ。

「ヒマワリ、大丈夫か!?」
「いたい…なるぅ〜。」
「あれ、ナルト君じゃないですか。シカマル君も。」
「リーか。」

ナルトがヒマワリに駆け寄って抱き上げ、ぶつかった人を確認すると角から出てきたのはリーだった。
ならばそっちに問題はないなと判断したシカマルは、ヒマワリにケガがないかを確認した。

「大丈夫そうだな…いきなりどうしたんだ?」
「かぁちゃんが…!いたの、みえたの!あっち!」

その言葉にすぐ前方を確認するも、人混みの中に金色の髪は見えなかった。

「かぁちゃぁ…」
「こんのゲジマユ!てめぇよくも邪魔しやがったな!」
「え、何をですか?!なんのことですか?!っていうかその子は誰なんです?!ま、まさかナルト君とシカマル君のこど「いい加減言わせるかぁぁぁぁ!」
「お前ら超うるせぇ。」

やたらめったら叫んでオーバーなリアクションをする二人に溜め息が出る。
だがそんな二人の叫びあいにヒマワリの涙もひっこんでしまったので、シカマルも溜め息をのみこんだ。

「しょうがねぇ。多分この先にいるだろうし、走るか。」
「ランニングですか!ならば僕も負けませんよ!」
「何でそうなるんだってばよ。」
「お前は腕立てでもしてろ、青春バカ。」

なるほど、腕力も大切ですね!と言い出してリーは片手で腕立て伏せを始めてしまった。
シカマルとナルトは最早リーのことは好きにさせることにした。
例えここが人が多い街中の一角であったとしても。

「よし。ヒマワリ、ちゃんとつかまってろよ?」
「うん!」
「あぁ、待て待て。」
「ん?」

なんだと聞く前にシカマルはナルトの腕からヒマワリを離し、自分で抱え直した。

「え?シカ?」
「こうさせたら、よく見えるだろ。」

そういうとシカマルはヒマワリを肩の上に持ち上げた。
いわゆる肩車だ。

「うわぁー。」
「よし、行くか。」
「お、おう!」





























しばらく走るといつのまにか門の方まで来てしまっていた。

「どうだ、いるか?」
「うー…」
「もうちょっと歩いてみるってば?」


「ヒマワリちゃん!」


『!?』


突然三人の後ろからヒマワリを呼ぶ声が響いた。
そしてそれはナルトとシカマルがよく知る女の子の声。

「さ、サクラちゃん!?」
「ナルト!なんでヒマちゃんといるの?すっごい探してたのよ。」
「さくねぇちゃん!」

ヒマワリは嬉しそうにシカマルの肩からサクラの腕へと移った。

「じゃあヒマワリの親戚って、お前の家だったのか。」
「そうよ、私の叔父さんの子。もしかして一緒に探してくれてたの?」
「あー、まぁな。」
「よかったな、ヒマワリ!」
「うん!」

ナルトもヒマワリと一緒になって嬉しそうに笑った。
手を握りあってブンブンふっている。

「叔父さん達に早く知らせてあげなきゃ。本当、ありがとうね。」
「あぁ。じゃあな、ヒマワリ。」
「…またな、ヒマワリ。」

ナルトが名残惜しそうに手を離すと、ヒマワリは一瞬ポカンとしてすぐナルトの手を掴んだ。

「ヒマワリ?」
「やーだー!なるぅ〜」
「あらあら。」

ヒマワリはポロポロと泣きながらナルトの手を離さず、イヤイヤと首をふっている。
それにつられてナルトも目が潤みそうになったが、シカマルに頭をポンポンとなでられ我慢した。

「泣くなってば。男の子は簡単に泣いちゃいけねぇんだぞ?」
「え?」
「きっとまた会える!だから今度会った時はい〜っぱい遊ぼうぜ!」
「…ほんと?」
「約束だってばよ。」
「またあえる?」
「おう!」
「あそんでくれる?」
「おう!」
「ヒマとけっこんしてくれる?」
「おう!」












「え…?」

「やくそく!」

「いや、最後のなんかおかしかったってばよ!?」

「ねぇナルト、ヒマちゃんは女の子よ?」

「えぇぇぇぇ!?」



さっきまで泣いていたヒマワリはニコニコとやくそく!と何度も言っている。
シカマルは溜め息をついてナルトの肩を抱いた。

「あう、シカ?」
「ヒマワリ、結婚は駄目だ。ナルト兄ちゃんは俺と結婚するから。」
「お前子供に何言ってんだってばよぉぉぉ!」
「そーなの!?」

ジッとシカマルとヒマワリに見つめられナルトはあー、うー、を繰り返し、顔を真っ赤にしてしまった。

「そ、そ、そう、なんだってばよ…」
「だから結婚はなし。他は俺も約束する。」
「うー…うー…わかった…」

しばらく不服そうにしていたが、最後はしっかりと指切りをして帰っていった。












「寂しいか?」
「ちょっと。でもなんか楽しかったなぁ。」
「約束、ちゃんと守ってやんないとな。」
「勿論絶対守るってばよ!」
「おう、頼むぜ。」
「ん?」
「結婚してくれんだろ?」
「なっ!」

ナルトは顔を真っ赤にして焦っている。
その様子に満足したのか、シカマルはナルトの手をひいて当初の目的だった甘味屋へと歩きだした。



シカマルとナルトが金色の子供を連れていたという事実と、結婚云々の話を近くでたまたま聞いていた人の証言により、しばらくの間ナルトにはおめでとうの声がよせられたのはまた別の話。













end.



はい、何がしたかったんだろうか。
ギャグちっくなのが書きたかったんです。
あと子供と絡む感じのも書きたかっ(ry


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