間章 シカマルが自室に上がり、物思いにふけっている頃。 奈良夫妻は真剣な表情で話し合っていた。 「やっぱりナルト君は…」 「ああ、噂以上だな。」 シカマルが連れてきた少年。 金色の髪に蒼い瞳を持つのは、今では一人しかいない。 里を救った英雄の一人として、大事にされるはずだった子供。 だが身の内にいる九尾の狐によって、里人に忌み嫌われてしまっているのが現状。 勿論一人の幼子として扱う者もいるが、ごく少数である。 「だが俺達には中々手をだせねぇ…」 「ナルト君も会っちゃいけないって思ってるらしいしね。」 シカマルが言っていた事を思い返す。 奈良シカクには会ってはいけないのだ、と言って消えてしまったナルト。 突然消えたということ、消える前からシカクにも気配を感じさせなかった事から、おそらく忍として多少の力があるのだろう。 「あいつの子供だもんなぁ…」 近くにいるヨシノにも聞こえないくらい小さく呟いた。 思い出すのは歴代一と呼ばれた年若き火影。 その彩りだけでなく、しっかりと才能も受け継いだであろうことに、シカクは救われる気がした。 きっと、いつか、里の全てが認める力を手に入れて強くなる。 そう願っていた。 「できれば、シカマルがナルトと仲良くなってほしいもんだなぁ。」 「そうね。あの子なら、きっと…解ってくれる。」 只の手のかからない子供というだけでなく、シカマルの頭脳はずば抜けている。 今はそれを危惧するような事はないが、おそらく大きくなれば里の上層部は嫌でも目をつけるだろう。 頭脳は時に力を凌ぐ脅威となる。 類い希な力を持つ者同士、互いの心が解ることもあるかもしれない。 2人とも、元はただの幼い少年なのだから。 「情けねぇが、シカマルに祈るしかねぇかな。」 「いつか、大人の手が必要な時もくるわよ。その時は…」 「精一杯、抱きしめてあげましょ?」 ヨシノの笑顔に、シカクも苦笑で返した。 いつか来てほしい、その時を 今は只祈るのみ。 to be continued.. 小説TOPへ TOPへ |