2章 その日、ナルトは食糧を買うために外に出た。 やっと売ってもらえた食材を手に帰り道を歩いていると、また里人に囲まれていた。 「この化け狐が!」 「なんでお前が生きてるんだよ!」 「息子を返せ!」 今日はそんなに傷つかずに帰れそうだ、とナルトは首を絞められながら思っていた。 苦しくなって意識を落とせば里人達は去っていく。 自分が殺人者とはなりたくないのか、殺そうとしても最後の最後には逃げるようにいなくなるのだ。 しばらくし、ナルトが意識を戻すと食材はあちこちに散乱していた。 (あ、潰れてる・・・勿体ないな。) 無表情でそれらを集め出すと、近くに気配を感じ一瞬手を止めた。 大人ではない、おそらくは子供。 ならそんなに問題ないか、とまた集め出した。 だが気配は止まりながらも近づいてきていた。 ナルトは顔を上げずに気配だけ感じていた。 (・・・子供、俺と同じくらいだな。) 気付けばその気配は自分の目の前にまで来ていた。 「ほら、これもだろ。」 声をかけられて初めてナルトは顔を上げ、子供を見た。 黒い髪をしっかりとまとめ、黒い瞳は少し吊り上っている同い年くらいの少年。 どこか普通の子供とは違う雰囲気の少年は、汚れてしまった野菜を持っていた。 「・・・・・・。」 「違う・・ってことはねぇよな。」 ナルトが黙っていると、少年はナルトが抱えていた袋に野菜を拭きながら入れる。 だが袋は穴が開いていたようでコロコロと落ちてしまった。 「あー・・穴開いてたのか。悪りぃ。」 「・・ケホッ・・いいよ、拾わなくて。」 やっと言葉を発したナルトは少年を制してまた食材を拾い始めた。 「・・・お前、なんかされたのか?」 「・・気に、するな。俺に構わないほうがいい。」 少年はナルトをジッと見つめた。 先ほど咳をした際に少し血が出たのだ。 更に着ているものは変にボロボロで、体に傷跡がいくつもあった。 (いくつかは食べれないな・・・。) ナルトは少年の視線に勿論気付いていたが、そんな事別にどうでもよかった。 すぐ去っていくだろうと思っていた。 親に近づくなと言われてる子供もいれば、ナルトのボロボロな姿をみて馬鹿にして去っていく子供もいたから。 だからこの少年もすぐ去ると思っていたのだ。 「ケガしてんだろ・・・手当してやっから俺ん家来いよ。」 「・・・俺に、関わるな。」 予想に反してまだ関わってくる少年にナルトは再度ハッキリと言った。 かき集めた無事な食材を抱え帰ろうとした。 「待てよ!」 「・・・・・・離せ。」 少年はナルトの腕を掴んできたが、ナルトはそれでも無表情で少年を制した。 「こんなボロボロの奴無視できねぇよ・・・めんどくせぇな、来いっつの。」 「面倒だと思うなら、離せ。」 うるせぇ、と言いながら少年は手を離すことなく引っ張っていく。 ナルトはどうするべきか考えながら仕方なくついて行った。 力で逃げることも簡単だったが、子供に手をあげるわけにもいかず黙っていたのだ。 裏道のようなところを通っているあたり、少年なりに何か考えている様子がとれたこともあった。 「・・・俺なんかを連れていったら、大人に、叱られる。」 「はぁ?別に怒られたりしねぇよ。」 人助けて怒る奴がいるかよ、という少年の言葉にナルトは足をとめた。 「・・?どうした?」 「・・・人じゃない。」 「は?」 「俺は、人なんかじゃない。」 そう口にしたナルトの顔は無表情で、瞳は深く沈んでしまったようだった。 少年はナルトの言葉に眉をひそめ顔を見つめた。 「何言ってんだよ・・・どう見たって人間だろ。」 少年はため息をついてまた歩き出した。 ナルトは無表情がほんの少し崩れ、驚きの色がでた。 「俺には普通のガキにしか見えねぇよ。」 「・・・・・・。」 ナルトはどうすればいいのか分からず、困惑したまま手をひかれていった。 to be continued.. 小説TOPへ TOPへ |