ずるい | ナノ




シカナルなんだけどシカ←ナルっぽい
あくまで普通にシカナルなんですがね。















ずるい




















久々の休日。
と言っても火影という立場があるので、午後からのみ。
午前中にいつもより多めの仕事をし、やっと自由の身となった。
軽い服装で向かうのは、今日1日休みのはずの彼の家。

「シーカーマールー。」

シカマルの家の前で名前を叫んだ。
だが呼ばれた人間は勿論、中からは誰の反応もない。
お邪魔しまーす、と小さく呟き、ナルトは家の門をくぐった。
玄関から中の気配を探り、少し考える素振りをしてから縁側へと足を向けた。







縁側に着けば、巻物を広げたまま寝転がっている男が一人。

(…寝てるってば?)

探し人であるシカマルは、どうやら仕事であろう暗号の巻物を見ながら寝てしまったらしい。
ナルトは寝転がっているシカマルの横に座った。

「…休みなのに、大変だってばね。」
「人のこと言えねぇだろ。」
「っ!?」

ふと呟いた独り言に言葉が返ってきた。
ナルトは驚いて横をみると、シカマルが目を開けてこちらを見ていた。

「お、起きてたのかよ!」
「…当たり前だろうが、一応忍だぞ。」

くぁっと大きくアクビをすると、シカマルは起き上がってナルトの隣に座り直した。

「そんで、何か用か?」
「あー…うん。」

シカマルが空を見上げるのにつられ、ナルトも空を見た。
よく晴れていて、ゆっくりと白い雲が流れていく。
昔は何が楽しいんだ、とよく文句を言っていたが今ではすっかり慣れてしまった。
少し大人になって、ゆっくりとする余裕が出たのかもしれない。
いつもこんな感じのシカマルに似てきたのかもしれない。
そんな事を考えていると、ついナルトは小さく笑ってしまった。

「なんだ?」
「なんでもねぇってばよ。」

ニシシッと笑えば、シカマルも笑った。

「で、ホントどうした?仕事じゃねぇのかよ。」
「おう。午後からだけど久々に休みだ!」
「ほー。その折角の休みにどうしたんだよ。」
「…暇だから。」

嘘。
久々の休みならやりたい事もある。
何より愛しい人と一緒にいたくて。
でも暇なんだと言う。

「お前なぁ…」
「今日休みなのって、俺とシカマルだけなんだってばよ。」

休みなのは本当。
でもワザとそうした。
ちょっと同期の仲間に頼んだりして、そういうふうに仕組んだ。

「だから俺、シカマルんとこ以外行くとこねぇんだ。」
「…へぇ。」

嘘じゃない。
例え他に知り合いが休みでも、シカマルの所に来ただろう。
でも今日は素直に言ってやらない。

「んじゃ、一楽でも行くか。」
「え?」

シカマルは先程開いていた巻物を適当にたたみ、立ち上がった。
予想外のことにナルトは目を丸くしてシカマルを見上げる。

「仕事終わったんだってば?」
「別に急じゃねぇし、あとでやりゃいいさ。それに…」
「それに?」

シカマルの手がポン、とナルトの頭にのった。









「せっかく火影様を独り占めできるんだ、ゴロゴロしてるだけじゃ勿体ねぇだろ?」

「………バカマル。」











シカマルはナルトの頭を撫でて家の中へと消えた。

「…ずるい…ちょーずるい…」

ナルトは顔を真っ赤にして俯いてしまった。





きっとシカマルは全部解っていてそんなことを言う


会いたくて


一緒にいたくて


独り占めしたくて


独り占めしてほしかった


そんなナルトの気持ちも言葉も、全部気づいていて欲しい言葉で引き寄せる。



(適わねぇってばよ…。)



わざわざ自分に似合わず

遠回りして気持ちを表したのに

里一の頭脳には

ナルトをよく解っている彼には

簡単すぎた








奥からこちらに来る気配がする。

彼の前には無駄かもしれないが

すごく嬉しい気持ちを隠して

共にいられる幸せを隠して

全部バレてた恥ずかしさを隠して

とりあえず


「ずるい」


って言っておこう。







end.




未来妄想好きなのですかね、私は。
まぁ大好きですがね←
どうも糖度が足りない。
って毎回言ってる気がします。




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