ついうっかり、では済まない
2011/01/10


「何だァ?」
(…しまった)
そう思った時には時既に遅く、寒さのせいで少し掠れた飛段の声に角都はようやく自分のしでかしたことに気付いたのだった。
「オイ、聞いてんのか角都よ」
喋るたびに飛段の生暖かい息が口元に掛かり角都ははっとして身を引っ込める。それを不思議に思ったのだろう、飛段は更に詰め寄ろうと手を伸ばす。珍しい紫色をした二つの目に無言で責められた気分になり、角都は反射的に飛段を思い切り殴り飛ばした。
「イッテェー!いきなり何すんだ角都コラァ!」
尻餅をついたままの飛段がギャアギャア喚くのを余所に、角都はひどくうろたえていた。殴った右手が痛みでじんじんと疼く。

(畜生全くその通りだ。オレは何をしている、飛段の、こんなクソ餓鬼の、唇を吸うなど!)



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