受け入れる覚悟が
とっくに出来ていたとは
2011/01/10


最近の飛段は執拗に物をねだる餓鬼のようにウザかった。オレの膝にゴロリと頭を乗せ、何でダメなんだよ、なあ角都よォと気味の悪い猫撫で声を出す。どうしようもなく腹が立ったので今後の為だと躾をすべく酷い扱いをすれば、飛段の口から微かに低い悲鳴が漏れた。それに満足したオレは奴の血にまみれた手を止め再び帳簿と向き合う。
だが奴は諦める事なく、その後も何度もオレの背や肩を叩いた。なーいいだろ角都!なあってば!いやダメだ、絶対にダメだ。鼻から血を噴き出しながら迫る奴の顔をそこら辺にあった布で仕方なく綺麗にしてやり(当人が気にしてないのだから本当に仕方がない)その話は終わりにしろ飛段、と自分でも驚くほど穏やかな声で諭す。しかし奴は眉間に皺を寄せただけだった。バァーカ!終わりなんかある訳ねーだろ!バ角都!バ角都バ角都バ角都!いい加減相手をするのにも疲れて溜め息混じりにもう勝手にしろ、と知らない内に口が動いていた。奴は黙ってオレをじっと見ている。背中を嫌な汗が伝う。今、オレは何と言った。

「オレは確かに利口じゃねーよ、けどなァ角都、初めから手に入んねーと分かってるもんを求めるほど愚かじゃないぜ?」

ゲハハァと気味の悪い笑い方に嫌気が差し飛段の顔を拭っている手を更に強く動かした。イテーよ角都、文句を垂れる飛段の手がオレの腕を掴む。これ以上は危険だと分かっているのに何故だか目が離せなかった。確かにオレの連れは奴にしか務まらないのは認める。認めるが、それが違う意味での連れになるとは、これまで露ほどにも思わなかったのだ。



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