好きだから許す
2011/05/04


どう足掻いても力で角都に勝てるはずもなく、今日もオレは見事にバラバラ殺人事件の被害者になった。いや殺したってオレは死なねーけど、痛いもんは痛いし出血がひどけりゃ頭もぐらぐらして気持ち悪くなりもする。角都はオレの事をどMの変態野郎とでも勘違いしてんのかは知らないが、そもそも共有されない痛みに快感なんて感じる訳がない。痛いわ面倒臭わ情けないわで、何より一方的にやられるってのに腹が立つ。
オレはてめーの鬱憤を晴らす道具じゃない、今日こそ言ってやるといつも決意するのにバラバラになったオレの体を繋ぐ角都の顔を見ているとどうもその気が失せる。
くっついた左手の動きを確かめるように閉じたり開いたりしていたら、角都がじっとオレを見た。
…反省するくらいなら初めからやらなきゃいいんじゃねーの、そう思うのに。
「今日は宿取れよ、角都」
「………」
やっぱりオレの口から出たのは角都を責めるような言葉じゃなかった。確かにやっちまったモンは仕方ねーし、こうやって角都自身が治してくれてるってのもあるが、オレは少々角都を甘やかしすぎじゃないだろうか。
「晩飯はスペアリブがいい」
「…仕方のない奴だな、お前は」
いやいやどっちがだよ、そう思ったら何故だか笑いが込み上げてきてオレは盛大に笑った。訝し気な顔をしていた角都はどこかホッとしたような表情でまたオレをくっ付ける作業に戻る。ああ、だからそういう顔されたらもうオレはてめーを許すしかねーだろ。角都。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -