殺すと決めた日、
傍にいると決めた日
2011/03/01


あまりの騒々しさに真夜中目を覚ますと飛段が泣いていた。
うおぉ、おわああ、なんて子供みたいに噎び泣いていた。
どうしたと声を掛ければはっとしたように飛段がオレを見る。その顔は涙と鼻水と涎で汚れていた。
のろのろとした動作で近付いてくるのを待っていると、飛段の指がオレの頸動脈にそっと触れる。
そうして、ああよかったかくず、いきてたのか、と呟いた。
もしかしてオレが死ぬ夢でも見ていたのだろうか。縁起でもない。
全くお前は餓鬼か。
ぐずぐずと鼻を鳴らす飛段をそのままオレの布団の中へと引き摺り込んだ。相変わらず無駄に温かい身体に安堵したオレは諭すように飛段に言い聞かせる。
「たかが夢だろう、忘れろ。だが飛段、オレは完全なる不死ではない。いずれお前の隣にはオレではない相棒が立つのだ」
少ししてから、お前じゃない相棒はいらない、とあれだけ泣いていたにも関わらず濁りのない飛段の声が強くオレの耳に響いた。



何故今お前がオレの隣にいないのか理解が出来なかった。
変な所で素直だったお前は言葉通り忘れてしまっただろうか、お前を残して死んだオレに愛想を尽くしてしまっただろうか。
それでもオレは、相棒はオレだけだとオレの為に流してくれた飛段の涙を、今でもずっと忘れられないのだった。



えどてんかくず



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