手を繋いで帰りませんか?
2011/02/18


※社会人×高校生
相合い傘の続きで角都視点
角都が気持ち悪いです




「おかえり」
「ああ」
お疲れ様、と言ってオレにコーヒーを渡してきた飛段は手袋をしていなかった。肌が白いからさぞかし冷たいのだろうと思ったが、持っていたコーヒーのお陰でそれはじんわりと熱を持っている。
「別にわざわざ迎えに来なくても良かったんだぞ」
「いーんだよ、オレが来たかったんだから」
それとも迷惑だったか?と上目遣いで聞かれてオレは思わずそうではないと首を振った。
少し遠回りになるけど目立たないように裏道から帰ろうと、飛段がオレのコートの袖を引っ張る。
「あと、傘一本しかねーんだ。迎えに来たのに自分の分忘れちまって…ほらオレ馬鹿だから!」
早口でそう捲し立てたあと、何かをごまかす様な笑顔はどことなく寂しそうに見えた。


舗装が行き渡っていないこの道は普段あまり使われることはなく(飛段はお気に入りみたいでよく通るようだ)人も車もほとんど見当たらなかった。静寂の中、しんしんと降り積もる雪はオレ達を取り残し世界を白銀へと変えていく。
「冷えるな」
「ん?そーだな、雪だし」
オレも飛段も普通より図体が大きいため、互いの肩が半分ほど傘からはみ出ている。いわゆる相合い傘というやつをしている訳だが、そういえば初めてかもしれない。この歳になって初体験を味わうなど一年前には思いもしなかったが案外悪いものではないようだ。
ふと、右手が飛段の指に触れた。
今日はクソリーダーの野郎がよォなんて愚痴を溢すその顔を盗み見れば、寒さのせいか鼻の天辺が赤く染まっていた。いや駄目だ分かっている。分かってはいるが、やはりこの道にはオレ達しかいなかったので。
「寒いんだ」
「……」
飛段が驚いたように目を見開いてオレを見ている。まぁ、今まで一緒に外を出歩く時は極力接触を避けていたから驚かない方がおかしいのかもしれないが。飛段の手はオレの手の中にあった。
「嫌なら離していい」
「…オレは嫌じゃねーけど、テメーはいいのかよ…」
「……」
飛段は根本的に勘違いしている。
オレが今まで避けていたのは人目ではなくオレ自身の行動だ。
ああ、誰か早くこの道を通って来てくれないだろうか。飛段の手を握っていた手は今その背を抱こうとしている。
「…か、かくず」
自制が利かなくなるな、と思ったがオレの背を抱き締め返す腕が温かかったので構わずに目の前の冷たくなった耳に唇を寄せた。
「好きだ」
年甲斐もなく若人相手に何必死になってるんだと自覚はしている。
飛段はじっと黙ったあと、オレも好きだ、と笑って言った。

自覚はしているが、かわいいものはどうやってもかわいいのだから仕方がないだろう。



角都しっかりしろ^p^



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -