終わりにしよう
2011/01/10


※リーマンパラレル


飛段さんって何で秘書課じゃないのに社長の秘書してるの?ああ、何か自分の身体を売って側近にして貰ってるって聞いたわよ。ええー何それサイテー。

とかなんとか秘書たちが噂している。女っつーのはそういうのが好きみたいで本人であるオレもよく耳にした。と言うより休憩室でボーッとしているオレの目の前でわざとらしく言うのだ。ただの醜い嫉妬だから気に病むなと小南ちゃん(秘書課で唯一オレに優しい子だ)が心配してくれた。面倒なので端から気になどしていないが。

何より、
「う…はぁ、ッ」
事実なので否定も出来ない。

性欲処理なら普通に女を抱けばいいのに、と思う。男は濡れないから尻穴をローションなどで解してからじゃないと使えないのだ。不便なのにわざわざオレを使う意味が分からなかった。まぁ単なる好奇心かもしれないし、もしかしたらオレとの行為のあと口直しに誰かとヤッているのかもしれない。
そもそも何でオレたちはこんな事してるんだろうとか何でお前はオレを抱くんだとか疑問に思う事はいくらだってある。
聞くのは容易い、が、オレはそれを未だに出来ないでいた。
理由は考えたくない。

「あ、うッ…ん、…ッ」
「……」
セックスしてる時はいつも以上に無口な野郎だ。まぁベラベラと言葉攻めとかされるんならオレは舌噛んで自殺を選ぶけど。そんな訳で無駄に広い社長室はオレの荒い息遣いと変な声がよく響く。色々考えてたせいで集中出来なかった罰なのか、突然グッと腹の中の弱い所を思い切り突かれて思わずイキそうになる。が、根本を太く長い指で抑えられていて結局オレは何も吐き出せなかった。

「相変わらず堪え性がないな」
あー今日初めて喋ったよ。サイテーなのはオレじゃなくてコイツの方だぜ、ホント。
「オレがイくまで待て」
そう言ってキスをしながらオレの顔を横向きに固定した。あ、今日は顔見ながらイけるんだ。そう思ったら急に全身が熱くなってきて思わずいつもは心の中で叫んでる名前を声に出した。腰を痛いくらいに叩きつけられてオレは何も考えられなくなる。
はぁはぁとうるさい呼吸の中、背中に重みを感じて目を開けると眉を顰めた奴の顔が間近にあった。翡翠色の目がオレを見ている。
「……角都」
お前が本気じゃないのは初めから分かっていたはずなのに、目から溢れてきたものをオレは止める事が出来なかった。



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