最後の時
2011/01/10


ああ馬鹿馬鹿しい。いつもの長ったらしい儀式の最中オレはやたら苛立って、寝転がっている奴の上に馬乗りになった。驚いて反応が鈍った奴の手足を素早く縛り上げ何かを言う前に傍に落ちていたいかにも頭の悪そうな得物で奴の舌を躊躇いなく切る。喋れないのだろう、ふがふがと声にならない声が漏れてオレは満足して笑った。奴の腰に刺さったもう一本の仕込み杖を抜き、そのまま心臓を何度も刺した。何しやがる止めろクソヤロー!叫ぶのを無視して(もちろん舌がないので言葉にはなっていないが多分こう言っていた)やがて苦しそうにごぼりと奴の口から新しい血が溢れる。唯一自由が利く充血しきった紫色の目がオレを睨むがそんなものでは虫すら殺せやしない。刺した心臓に溜まるどす黒い血は果たしてオレのものか奴のものかもう分からない。しかし例えオレが今不様に死んだとしてもきっとオレはお前の中で生き続ける。お前は決して忘れることなど出来ない。疲弊した己の心臓の音を分けるように血に塗れたの手をそこまで導くと怒りに満ちた奴の目と目が合う。背筋を冷たいものが走りそれをごまかすように目の前の首に顔を埋めた。このまま奴に心臓を破られようが構わない気がした。そうしてオレは再び馬鹿なことを考えるのだ。
「愛している飛段」



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