美しいのは景色だけでなく
2011/01/10


角都はふと立ち止まり目の前に広がる光景に世界はこんなに美しいものかと思わず感慨に浸った。
「不思議だな」
そんな事を呟いた飛段を見れば、じいっとこちらを見詰めている。同じくこの広大な景色に目を奪われているものだと思っていた角都は、だが違っていたのだと分かると何故だか急に気恥ずかしくなり先を急ぐように歩を進めた。
「オレは、毎日お前と歩いたり走ったり怒られたり喧嘩したり戦ったり、してんだよな」
飛段の言いたい事がいまいち掴めず角都は黙ってその先を促す。
「毎日一緒にいるのに、オレは、何で毎日お前のこと好きになっていくんだろうな」
そうしてまた不思議だなと呟く飛段の横顔が夕日に照らされてく様子に角都はそっと見とれた。
「……下らん」
「ハァー!何でだよ、オレ今絶対いい事言っただろォ?」
だからお前は馬鹿だと言うのだ。しかし角都はそれを口に出さずただひたすら足を動かす事だけに集中する。しつこく自分の名を呼ぶ飛段の、更に馬鹿な台詞など聞きたくなかったのである。



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