06月20日(木)00時16分 の追記


「Make Love」は夜な夜な東京を騒がす大泥棒達が集まる秘密のジャズバー。
今夜も仕事帰りの泥棒が「close」の札が下がったドアを開ける。

カランカラーン!
「ヘイマスター!」
「精市、久しぶりだな。何を飲む?」
「今回は大仕事だったからね〜。マティーニを」
幸村精市は絵画専門の泥棒だ。
「それにしても毎回骨が折れるよ。贋作を描いて本物と入れ替えるのは」
「精市の描いた絵が飾られると、美術館に長蛇の列が出来ると聞いたが」
「みたいだね。興味ないけど。そのせいでツイッターに盗んでくださいってDMが入ってさ〜、どうやって知るんだろ。ネットの世界は恐ろしいよ」
「大変そうだな」
「興味ないから良いんだけどね!それよりマスター、はいコレ!」
「ダヴィンチか」
「そうそう。ダヴィンチなら絵画に興味ないマスターでも知ってるでしょ!超〜盗むの大変だったんだよ?さ!それあげるから俺とメイクラブしちゃお!」
「興味がない」
ザパー!
「ギャアァァ!ダヴィンチがマティーニまみれにいぃぃ!!!」

カランカラーン!
「マスター、ビールとチヂミと揚げ出し豆腐!」
「仁王、久しぶりだな」
「っあー……!やっぱ盗みの後のビールは最高じゃのぅ」
仁王雅治は宝飾品専門の泥棒だ。
「お疲れのようだな」
「女の理想の男を演じんのも大変ぜよ。リサーチも必要だし」
「何を言ってるんだ。リアル乙女ゲームなどと言われて、巷で大人気だそうじゃないか。ターゲットの女性がお礼として喜んでアクセサリーを差し出すと聞いたぞ」
「そんなんどうだってええよ。それよりマスター、今回はイエローダイヤモンドじゃ。綺麗じゃろ?マスターの細い腕にさいっこうにハマるはずじゃ!それつけたまま今夜は俺とメイクラブといこうぜよ!」
「女物じゃないか」
ポイッ!
「ギャアァァ!イエローダイヤモンドがチヂミを焼く燃料にいぃぃ!!!」

カランカラーン!
「こんばんは。良い夜ですね、マスター」
「久しぶりだな、柳生。何にする?」
「散々ワインを見た後なので、ノンアルコールのものを。ベンティエクストラホットノンファットエクストラクリームエクストラソースヘーゼルナッツシロップジャバチップキャラメルマキアートをお願いします」
柳生比呂士はワイン専門の泥棒だ。
「はぁ……」
「どうした、ため息をついて」
「最近はワインの価値を解っていない人間が多すぎまして」
「また盗みの最中に主人を呼び出して授業を行ったのか」
「ただ気のすむまで喋っただけですよ」
「お前がそうして喋った店はその後大繁盛すると聞いた。本当に授業を開いて欲しいというオーナーが、かなりの数いるようだ」
「開く気はありませんよ。そんなことよりマスター、こちらの61年ものシャトー・マルゴーを使ってワカメ酒で私とメイクラブというのはいかがでしょう」
「赤でワカメ酒はグロいだろう」
トクトクトク!
「ギャアァァ!キャラメルマキアートがエクストラシャトー・マルゴーにいぃぃ!!!」

今夜もマスターの愛を盗むため、東京には大泥棒が現れる!





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他に時計専門の泥棒ジャッカル、バッグ専門の泥棒赤也、日本刀専門の泥棒真田、毎晩都内の千○屋に忍び込んで高級フルーツを盗み出し美味しいケーキを作ってくれる泥棒兼バーパティシエのブン太がいます。
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