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結婚…?

梛雪は口を半開きにした。嘘だろう、カレンダーも確認する。

「今日は六月一日です」

「エイプリルフールとかじゃなくて?」

「はい、しっかり地球は働いてます」

「まさか麦野が…、いや、麦野っていうよりも柘榴さんが」

結婚だなんて。

泰が焼酎ロックを口に含む。それを見ながら、梛雪は更に聞きたいこともあったが、黙る。

これは麦野と柘榴の問題だ。

第三者が首を突っ込んで根掘り葉掘り聞くのは、野次馬根性。

「なんでも、柘榴さんが妊娠されたとかで」

「妊娠…!」

ここが自分の家で心から良かったと梛雪は思った。もしも店だったら、客の目をひくボリュームだった。

「まあ、柘榴さんも人の子ですから。蘿蔔さんとヤれば」

「そんなことわかるからわざわざ口にしないでください」

クスクスと笑う掴めない男。

呆れながら、空いたグラスにワインを注ぐ梛雪。この人、口が緩むとただの盛っている犬なんだよね。
ガンガン飲ませて黙らせよう。

「それとも、蘿蔔さんが孕ませたってことが、ショックだった?」

言われた言葉に梛雪は視線を向けた。

微笑む顔は梛雪の方を向いては居なかったが。

的を得ているようで、思いっきり外しているような。

でも、どこか通じるものがある。

「それは、泰さんの方だったりして」

ずっと一緒に暮らしていた坊ちゃんが一人の女に取られた。しかも、その女は坊ちゃんの子供まで孕んでいる。

それは、親友を取られた気のする梛雪と同じなのではないか。

「流石にそれはないですね。男は眼中にないので」

「まあそうだよね」

「あんたの腹の子供にも男は連れてきてほしくないな」

…あ、バレてた。










20130727







(妊娠が発覚したとき)











[mokuji]






 

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