ほっとけーきとパンケーキ



南口を彷徨く菫をすぐに見つけた姫。
姫の姿を見た菫は、手を差し出す。

「遅刻、罰金でーす」

「なんすか新手の詐欺すか」

「人を詐欺師呼ばわりしないでよ」

むっとする菫の髪が揺れる。
冷たい風が吹いた。

同じく姫の髪の毛も揺れた。

「あれ、一条は?」

「今日は打ち合わせがあるから来れないんだって」

「珍し。つか菫ちゃんがここまで来れたことに奇跡すら感じる」

はあ? と歪められる顔。

パーカーの中に手を突っ込んだ姫は、何かが手に当たるのを感じた。

「そんなことより、パンケーキとホットケーキって何がちげーの?」

「朝食べるのがパンケーキ、おやつのがホットケーキ」

即答した菫が、姫の歩く方へついて行く。

時間帯の差で読み方まで変わるのか、と妙に納得しながら姫は振り返る。

「…夜食べるのは?」

「ケーキ」

てきとーに言ってんなら頬を抓ってやろうか。

そう思ったが、止めておく。菫の隣に並びながらパンケーキ店やらの長蛇の列を見た。

唖然とする。

「…菫ちゃん、奢ってやるからラーメンにしよ」

「わーい」

菫も同感。あんなのに並ぶくらいなら家でホットケーキを作った方が早い。

そういう問題ではないのだが、二人はそこから立ち去る。

「今度うちでパンケーキ会しよう、鑑さんも呼んで」

「え、あいつ来ると沢山来るじゃん」

「多い方が楽しいもの」

にこにこと笑う菫の笑顔が見れたので、まあよしとしようか。











(二人の昼食が麺になったとき)
20131004









 



[mokuji]






 

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -