足癖はなおらない


は?

コインを投入したのに、何の反応も起こらない自販機。麦野はおつりのレバーを押すが、反応なし。

百二十円を食べた自販機は麦野を用無しだと言わんばかりに無視をする。

一杯食わされた、というのが気に入らず、麦野はそれを蹴った。響かない程度に。

社内なのだから誰に見られても良いわけではないが、公共の場よりましだ。

「何やってるんですか…?」

後ろからばっちりそれを見ていた柘榴が問いかける。

「八つ当たり?」

「はい?」

「今回のは不可抗力」

蹴ることに不可があるのか。柘榴は疑わしげに麦野を見ていた。







一方、ある公園。

「はあ? 金返してくださーい」

姫はトントンと自販機をノックする。隣の菫は不思議そうにそれを見た。

「姫、これ機械だから中に小人さんは入ってないんだよ?」

偉く真面目な顔で言われて参る。

「知ってるよそんなの」

「そうなんだ。あたし、小学生の時に初めて知った」

「小人さんそれ確実に死んじゃうから」

ガッと足癖の悪さが出た姫。思えば、この公園のゴミ箱を蹴っているのを菫に見られたような。

菫の姿を公園内に見つけて、少し車を停めさせていた柘榴も、その姫の行為を見て長く溜め息を吐いた。



…もしかしてタイプって遺伝なのだろうか。






(足癖の悪さが判明したとき)
20131006











[mokuji]






 

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