BBNSS:マンションにて2012/05/10 11:34仄嶋さんと宇宙さん
++++++
(由良ちゃんは、俺のことが、好き)
(めんどくさいなー、そうゆうの)
由良を先に家に帰したあと、宇宙は、宙を眺める仄嶋をじっと見つめ、全てをわかっている口ぶりで話し始める。
「そうやって、思わせぶりな態度をとるから、余計に傷つけるんだよ」
ゆっくりと、宙を眺めたまま意識だけを宇宙に向けて、仄嶋が返事をする。
「でも、優しくしてあげたいじゃん。
嫌われたく、ないもの」
冷たくなんてできない、と抱えたクッションに顔を埋める、その姿は少女のようで。
「結果的に、その気がないんなら、傷つけることになる。そしたら余計に嫌われるかもしれないのに」
「嫌われないかもしれないでしょ」
仄嶋は顔をあげて宇宙を見た。宇宙のいつもの悲しげな瞳と視線を交わすと、落ち着く。
「わるい男だね」
「うん、オレは、最低な男だ」
「そこまで言ってない」
宇宙は壁にもたれかかったまま、組んだ腕を解き、大理石の、広いキッチンに足を向かわせる。
「そらはやさしいね。
傷つくよ?」
仄嶋のその甘えた声を、宇宙は背中で聞きながら、棚からグラスを取り出して撫でた。
「傷つけばいい」
しんとしたトーンで一言だけ告げると、グラスに水を注いだ。コポコポという水の音に隠れて、ひどいや、という仄嶋の声がかすかに聞こえた。宇宙は、その声を聞き逃さないように、その声を味わうように、ゆっくりと瞼を閉じて、グラスを置いた。
++++++
なんだか
仄←宇っぽくなっちった
prev | next