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「#エロ」のBL小説を読む
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私で遊ばないで下さい
※性的描写を含みます。閲覧は自己責任でお願いします。

「おはよ、名前。」
「おはようございます、ヤマトさん。」

目が覚めると彼の腕の中。そんな朝にもすっかり慣れた。
そこからはいつも時間ギリギリまで、じゃれ合うようなキスをして抱きしめ合い互いの暖かさを感じあう。彼の肌の滑らかさとシーツの感触を味わう幸せは永遠に続いてほしい時間。だけどチラリと時計を盗み見れば針の指す時刻は6時15分。そろそろ用意しないと。
キスの嵐を降らす彼の胸をそっと押した。

「……ん、…朝ごはんの準備してきます。」
「僕も一緒にするよ。」

ヤマトさんは最後に額にキスを落としてから私を開放し起き上がった。
カーテンの隙間から溢れる光によってほんのり明るく照らされた彼を見てなんだか恥ずかしくなった。
だって、ヤマトさんの右胸の突起のすぐ横にぼんやり広がる赤色が目に付いたから。
その艶めかしい跡は昨夜、私が付けたのだ。

「もういい加減にして下さい。」て言ったのに、やたらと胸に跡をつけてきたからこっちも仕返ししてやった。
こちらとしてはあくまでも“仕返し”だった。
なのに彼ときたら喜んじゃって…大失敗。
「もっと付けていいよ。遠慮しなくていい」とか言ってきたし…面白くなくて「もう一生つけない。」て返したら、これまた嬉しそうに笑われた。

そんなことを思い出していたら彼は右胸の赤をスッと指差した。
やだ、見てたのバレた!
そして、これでもかとばかりに万編の笑みを浮かべてきたのだ。

「消えたらまた付けてくれるんだろう?」
「だから!もう絶対につけません!」

私を怒らすのがよほど楽しいのか、喉で笑いを噛み殺してる。
ああ…無性に腹が立つ。もう一生キスマークなんてつけてやんない。
この人は大人の男性の顔と身体を持ち合わせているけど、中身は好きな子をおちょくりたいだけの子供なのだ。

それにしても、くだらないやり取りをしてたら時間を消費してしまった。
すっかり彼のペースなのも癪だし、この空間から抜け出したい。サッサと着替えて朝ごはんの準備に取り掛かろう。
そう思い床に落ちていたショーツを手に取って自分を呪いたくなった。

早々と着替えたい時に限って……なんで昨夜の私はあえて紐パンにしたの?
昨年のヤマトさんの誕生日用に買ったやつ。
祝うのも何回目?てなるともうネタ切れで。普段とは違うセクシーな下着を私の許容範囲内で用意してみた。
で、購入した紐パンは案の定、大好評。
あんまりにも喜ぶからたまに履いている。欲情してくれるのはやっぱり嬉しいし。
でも、一度解いてしまうとめんどくさいのよ。
もう!と心の中で溜息を吐いてからヤマトさんに背を向けベッドのうえで膝立ちになった。そして股に布をあてがい、まず左の紐を結んだ。
次に反対側を結ぼうとした時だった。
後ろから大きな手がのびてきて、私の掴むはずだった紐をスルリと取ったのだ。

「名前、僕が結ぶよ。」
「いいです。自分でやりますから。」
「僕が解いたんだから僕が結ぶのが筋だ。」
「いえ、結構です。」

私の返事を無視して彼は結びだしてしまった。

なんか、ヤダな。
本日何度目かの後悔が私を襲った。
どうしてショーツから手に取ったんだろう…せめて先にブラとキャミを着るべきだった。
電気はつけてないとはいえカーテンの隙間から入る日差しは私の裸は見せるのに十分な量。
赤く印を残された胸が曝け出された状態なのが恥ずかしい。とりあえず両手でサッと自分の胸を隠した。
そして思った。手があともう一本欲しい、と。
できればお腹も隠したい!掌一つで隠しきれるものじゃないけど…だって、彼が結ぶ紐のすぐ上には甘えたボディがあるのだ。遠回しに言ってすみません。つまり、ちょっと緩い体型のお腹が恥ずかしいんです。
早くしてよ、そう願わずにはいられない。
だけど、私の思いとは裏腹にヤマトさんはちんたらした手つき。もーはやく!

「ああ、あれ?なんだか上手く結べないなぁ。」

「おっと…手が滑ってしまった。」

「これじゃ緩すぎるね…もう一度…。」

ブツブツ独り言を呟きながら格闘するヤマトさん。
普段手先は器用なのに…時間かかり過ぎでしょ。ただの蝶々結びだよ。

「ヤマトさん、もういいです。自分でやります。」

耐えかねて彼の手から紐を奪おうとするとチラリと私の表情を伺ってきた。そして、ピンときた。この楽しそうな瞳は…もしかして…

「わざとですか?」
「やっと気付いた?はは、だって恥ずかしがる君が面白いから。」
「もー…ばか。朝ごはんの準備しに行きたいのに。」

すると、呆れ返る私に彼は思いもよらぬ行動に出たのだ。紐を手放したかと思うと私の大事なところに指を伸ばしてきたのだ。

「名前、まだ結ばないって選択肢もある。」
「ない。それはない。本当にないです。」

今からしたいの?
何とぼけたこと言ってるんですか?
彼の腕を振りほどき、ベッドから降りると自分でサッと紐を結んだ。
ええっと馬鹿なやり取りをしてて時間を5分ロス。
7時半には家を出たい。身支度に20分かけるとして…朝ごはんのために残された時間がどんどん減っていく。慌ててブラとキャミを着て、シャツを手に取りボタンを止めた。次にストッキングとスカートも履いた。
ヤマトさんはというとそんな私をベッドからニコニコと眺めていた。朝からするってのは諦めたみたいだ。よかった。というか時間ないし。流石にさっきのは冗談だろう。
そんなことを考えながら、姿見の前に立って襟が曲がっているのを直していると鏡越しに目があった。途端に悪寒が走った…だってニヒルな悪い笑みを浮かべてるんだもの!
そして、彼はベッドから抜け出し、私の背後に立つと後ろから抱きしめてきた。腰に熱いものが当たっているような…気のせいと思いたいがこれは大ピンチだ。ていうか、押し当てられたら服に染みがつくからやめてくれませんか?

「や、ややヤヤマトさんも早く服を着たらどうですか?すっぽんぽんですよ。寒くないですか?」
「すぐに熱くなるからいい。」
「いやいや、熱くなるようなこと私はする気ないです。」

熱くなる?しないよ!
鏡に映るのは警戒心から表情を強張らせる私。
対象的に艶めいた声を囁くヤマトさん。
耳元で囁かれたら変な気分になるからやめて下さい。

余裕の笑みを浮かべた彼はシャツの上から大きく胸を揉み始めた。そして私の耳を舌先で刺激。丁寧に耳をなぞったかと思えば、くちゅりとわざと音を立てて舐めあげてきたり。
ちょっと腰に重だるさが広がったのは気のせいと思いたい。でも、鏡にはわずかに太腿を擦らせ、唇を噛む自分が映し出されていて……
私の反応に満足げな表情を浮かべたヤマトさんはすっかりカタチどられた熱を明確な意思を持ってグイと押しあてると、次はボタンに手をかけた。

「あの……せっかく今、着たとこなんですけど……」

予想はしてたけど無視。
ボタンを上から3つだけ外しシャツを広げて胸を曝け出させた。そしてブラを下にずらすと、迷いない手つきで2つの膨らみを鷲掴みにし寄せ合わせてくる。……やだ、力強く揉んでくるから指が食い込んでる…
自分の胸なんて毎日見てるし、彼に触れられるのももう何度目かわからない。だけど……こうして大きな掌で弄ばれる自分を見るのは初めてのことで。
肩にかかる彼の吐息がこそばゆくて、背中がゾクリとした。自分の感覚がどんどん敏感になっていくのがわかる。
次に彼は胸を遊んでいた手を片方だけ下へ這わせていき、スカートをたくし上げた。そして、ショーツの中に手をねじ込むと私の敏感なとこを指先でソっと触れた。どんどんスイッチが入っていく私の身体はそんな曖昧な刺激じゃもうすっかり物足りなくて…もっと……自らで彼の指に押し当てるように腰を動かしてしまう。恥ずかしいのに止められない。
鏡越しに目がまた合った。彼の顔からは笑みが消え、私を求めてやまない雄の顔になっていた。今、その表情はずるいよ。
そして目線を交わしたまま、舌先を耳から首に走らされて…すると、私の口からは思わず声が…

「……ふ…やん……。」

気付くと鏡に映る自分の瞳は潤んでいき、我慢できずに腰をうねらしている。オマケに眉を潜め、溜息が漏れる始末。
いつもヤマトさんの目に映る私ってこんなのだったんだ………羞恥から目線を鏡の外に移した。だけど、“彼に襲われている自分”を見て確かにゾクリした気持ちもあって……自分のイヤらしい姿に興奮するって私頭おかしいかも…。

「名前いいよね。しよ?」
「……ん…んん、………でも、鏡の前は…恥ずかしいから、やだ…。」
「駄目だよ。僕は鏡の前で中途半端に服を乱れさせた君を後ろから襲いたい。」
「……何フェチですか?」
「名前フェチ。君と色んなイヤらしいことをしたいだけさ。」
「…変態ですね。」

でも、結局は流されてしまう私もきっと同類。
もちろん朝ごはんは食べ損ねた。