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二人の朝

※微裏です。閲覧は自己責任で。


関係を持つ前、よく一人で朝ごはんを食べながら思っていた。
ヤマトさんと一緒に朝を迎えることができたら、いつだって少し張り切った朝ごはんを用意する。
そして、まだ眠る愛しい人の肩をそっと揺らしにいきたい。

「朝ごはんできましたよ。そろそろ起きてください。」
「……ん…もうちょっとだけ…。」
「もー遅刻しちゃいますよ。」

なんてね。そんなのに憧れてた。
だけど現実は……


物音で目が覚めた。
ベッドには私一人。何時だろ?
音がした方を振り返ると部屋着のシャツを脱ぐ彼が目に入った。

「ごめんよ。起こしてしまったね。」
「いえ…また寝坊しちゃいました……。おはようございます。」

まだ眠気が冷めない寝ぼけ眼でボーと彼の一連の動作を眺めた。
何も身に纏っておらずシーツに包まる私とは反対に、ヤマトさんはキチンと忍服を着込んでいく。

「朝ごはん簡単なものだけど用意してあるから。後で食べて。」
「…すみません。ありがとうございます。」
「どういたしまして。今日は君は休みだろう?ゆっくりしていくといい。」

この寝坊に関しては少し言い訳をさせて欲しい。
だって…昨夜…………ああ、なんて言ったらいいのかな…
つまり、ちょっと盛り上がっちゃって夜更かしってことです。
でも二人の休みが重なることは少ないし、今日みたいに私はオフでもヤマトさんは任務ってことも多くて。
だから一度、聞いてみた。「夜更かししちゃって明日の任務しんどくないですか?」て。
そしたら「むしろ一層頑張れるよ。男なんてみんなそんなものだと思うけれど。」て答えが返ってきた。
そうなの?私は寝不足で仕事行くのはしんどいよ。男ってわかんない。

「じゃあ、いってきます。」
「…いってらっしゃい。」

最後に彼はヘッドギアをつけるとベッドに腰を下ろした。
そして、私の頭を撫で、優しく唇を落としてから部屋を出ていった。

二度寝を決め込んでいた私は枕に顔を埋めた。
あ、ヤマトさんの匂いがする。
愛しい人に包まれている、そんな気持ちになって、お互い快楽に溺れていった昨夜の情事を思い出してしまうよ。
ヤマトさんの手はいつも私を意図もたやすく翻弄する。
彼にそっと背中を触れられただけで、私の腰には重だるい熱が広がり思わず甘い溜息が漏れしてしまう。
優しく背中を撫でたかと思えば、私の胸を好きなように揉みしだく。
そして、私の太腿に手を滑らせ、せわしなく私の中を掻き乱してきて……
気付くと私の中心はびっしょり濡れ、ひくひくと貴方のオスを求めている。早く貴方が欲しい、私の思考はそれだけになってしまうのだ。
でも、だからってすぐにくれるわけじゃない。限界まで攻め立て、貴方を求める私を思う存分堪能してからじゃなきゃくれない。焦らされ過ぎて頭がおかしくなっちゃいそうな私を見るのが好きなんでしょ?あのSめ。

私は果てる瞬間の彼を見るのが凄く好きだ。こっちもいっぱいいっぱいだけど絶対に見逃せない。
瞳は熱に浮かされトロリとし苦し気に眉を寄せるあの表情は他の誰にも見せたくない。私だけが独り占めしたい顔。
ああ、思い出すと身体が疼いちゃう…

朝から甘い余韻に浸り、大好きな人の唇を味わっての休日のスタート。素晴らしい。
この幸せな気持ちを抱いたままもう一度眠りにつきたい。

そして気付いた。
あ!大事なこと言い忘れてる!
慌ててベッドから出たけど…ああ!すっぽんポンだ!恥ずかしいよ!
とりあえず布団をカバっと羽織る。お布団星人…?
だけど、裸よりマシだよね。
玄関までダッシュだ。

ドアノブに手をかけて今にも出ていく瞬間の彼。
だけど、私のバタバタとした足音に振り返ってくれた。

「ヤマトさん、あの…!」
「ん?」
「無事に帰って来てくださいね。」

すると、彼はクスリと笑った。

「今日は里内で資料館の補前工事だから危険な任務じゃないよ。」
「…あ、そうでしたか。」
「名前は本当に心配性だね。」

確かにいつも心配し過ぎかも。こんな自分に自分でも呆れちゃう。ちょっと恥ずかしい…
でもヤマトさんの目尻は嬉しそうに垂れたし、まぁいっか。

「里内任務だったら今日は帰り早いんですか?」
「そうだね、5時には終わると思う。」

今日のオフの過ごし方は前々から決めていた。
撮りためていたビデオを一日中見てのんびりしようって。
たまにはダラダラと自分の家に引き籠って過ごすのも楽しい。
だけど、ヤマトさんの嬉しそうな顔を見てたらもっと喜ばしたくなっちゃう。

「じゃあ…夕飯作って待ってましょうか?」
「え、いいの?」
「はい。」

あ、ヤマトさんが今もし犬だったら耳がピンと立って、尻尾をブンブンふってるな。そんな喜び方。
今日の予定は変更だ。
大好きな彼の家で、彼のために料理を作り、彼の帰りを待つ。
こっちの方が魅力的だもの。

「なるべく早く帰るよ。」
「ふふ、そんな急がなくても大丈夫ですよ。」

「じゃあ、いってくるね。」
「はい、いってらっしゃい。」

そして、二度目のいってきますのキス。
テンションの上がった彼はちょっと長くて濃厚なヤツをくれた。

髪もとかさず、顔も洗わず、裸のままお見送り。
挙句の果に朝食の準備までしてもらった。
理想と現実がかけ離れすぎてるよ。
でも、こんな朝が幸せでたまらない今日この頃。

おしまい