ここにいて
【設定】
■『 if 』夢主
「風邪だな」
「う゛う゛ん゛、違う゛ど思う゛」
「そんな鼻声でよく違うと言えたな」
ずびっと鼻を鳴らしながら力無くベッドに沈んでいるのは私。
いつもと様子が違うとすぐに気付いてくれたアンジールは、熱を測ったり朝ごはんを果物へ変えてくれたりとお母さんのように私の世話をしてくれている。
「自分は風邪なんかひかないと思ってた」
「どこからそんな自信が出てくるんだ。風邪くらいひくだろう?」
「だって最強だから、私」
そう言うと、ボフンッと頭を掴まれてベッドに押し付けられた。熱のせいか衝撃のせいか定かではないが、少し頭がクラクラする。
アンジールの手は冷たくて気持ちがいい。彼の手を頬でスリスリすると安心した。
そんなことをしてしまうほど、どうやら私は弱っているらしい。
「リビングにいる。何かあったら呼べ」
「………………」
「ツカサ?」
「やだって言ったらここにいてくれる?」
風邪の時はどうしても誰かに甘えてしまうし側にいてほしい。
彼の手が離れて髪をくしゃっと撫でて「何か欲しいものはあるか?」と訊いてきた。
「リンゴでも食べるか?」
「いらない」
「水は?」
「いらない」
「眠れないなら何か本でも持ってこよう」
「いらない」
「うちの子猫はイヤイヤ期だな」
「なにそれやだ」
「………………」
「………ごめん、ここにいるとアンジールも風邪ひくよ」
我儘が過ぎたと思ってそう言うと、彼は黙って部屋を出ていった。
シーンと静まり返った部屋には寂しさと虚しさばかりが感じられる。
(大人しく寝ますよーっだ………)
しばらくするとコンコンとノック音が聞こえ、水や薬を持って戻ってきた。
先程の我儘で気を悪くしたわけではなかったことに安心する。
やっぱりアンジールは優しい。
「汗は大丈夫か?」
「そういえば着替えたいかも」
「なら体も拭くだろう?」
「あ、ありがーーー」
差し出されたタオルを受け取ろうとすると、サッと届かないところまで手を引かれた。
どうしよう。すごく嫌な予感しかしない。
「風邪だからな」
「え」
「病人だろう?」
「いや、え、ちょっ」
「今日はとことん甘やかしてやろうと思ってな」
「まままま待って!!」
「普段厳しい分、たまにはいいだろう?」
にやりと笑う笑顔に思わず冷や汗が流れる。
(うーわー!!こんな嫌なタイミングで裸を見られるの!?
汗臭いとか思われたらどうしよう思ったより胸小さいなとか………いや、思ったより大きいな?の方がエロおやじみたいで嫌だなどうしようそれより無駄毛の処理し損ねたところとか発見されたら!?もう、いっそ一思いに刺してほしいいいいいい)
ひぃぃぃいい!!と頭を抱える私に彼は「百面相をするな」と笑っていた。
私の考えていることがどうか伝わらないでほしい。
「ツカサ」
「やだ、自分で出来る」
「ああ、そうだな。俺が脱がすのはその風邪が治ってからにしよう」
だから早く治せよ、とおでこにキスをしてくれた。
私の心臓は破裂するくらいドキドキしている。
ああ、もう幸せ過ぎてツライ。
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そして眠った後もちゃんと側に居るアンジール。いけめん。
アンジール好きって改めて主張。