16
私の生きる意味。
昔はそんなこと考えたこともなかった。
ゲームだって他人事のように、小説を読むかのように………
自分だけが生きているのか死んでいるのかわからない、曖昧な時を刻んでいるような気がして。
でも限りある時間の中で、迷っても後悔だけはしないようにしたいって思えたのはきっとみんなのお陰だよね。
「ねえ、ジタン。
16年後の自分は何してると思う?」
「16年って中途半端な数だな………それ何の年数なんだ?」
「うーん、ジタンの年くらい?」
「今思い付いたって顔してるぜ」
誤魔化す必要なんてないのだけれど、ついいつもの調子で返事をしてしまった。
「ふふっ、冗談よ。
私が初めてみんなを知ったのが16年前だったなって、そう思っただけ。
まさか会うとは思わなかったけど」
「そっか、俺は16年前のツカサに会いたかったな」
「えー?16年前だとジタンより年下になっちゃうよ」
「そうか………16年前のツカサにちょっかい出したらマズイよな〜」
「何それ、気持ち悪い!」
「おいおい、冗談だって!
でも絶対可愛いだろうな。だって今こんなにも美人なんだぜ?」
いつだって女の子の喜ぶことを言ってくれる彼。
どんな時だって明るくて頼りになる彼。
私には無いものをたくさん持っている彼。
そんな彼の隣を今の私は肩を揃えて歩けているのかな。
成長しているみんなの仲間にちゃんとなれているのかな。
そんなこと考えたって意味がないことなんてわかっているけれど、いつだって人という生き物は不安ばかりだ。
「会えてよかった」
「え………?」
「会えてよかったよ。ツカサに」
「昔の私に会ってみたいんでしょ?
でも残念で〜し〜た〜。時間は遡れないんですよーっだ!」
大人気ないことなんてわかっている。
それなのに私は嫉妬してしまう。彼が会いたいと言った昔の私に。
(そんな嫉妬、バカみたい)
16年前、この世界をゲームとしてプレイした。
色々考えさせられたし感動した。
何故だかみんなが他人に思えなくて、私も何があっても自分らしさを見失わないように決めて生きてきたつもりだった。
昨日より今日の私が自分らしいって思ってた。
それなのに今の私は昔の自分に嫉妬している。
「何か勘違いしてないか?」
「勘違い?」
「俺は“今”のツカサに会えてよかったって言ったんだぜ?
その16年って数字の中には俺たちが計り知れないくらい大変なこととか、つらかったこととか………色々あったんだろ?
それを乗り越えてこんなに輝いているツカサを否定なんてしないさ」
「ジタン………」
「それから、“今”俺たちと出逢ってくれてありがとう」
いつもの格好いい笑顔だけれど、どこか照れたような、そんな優しい表情の彼はいつも以上に素敵だった。
「こちらこそ………ありがとう、だよ」
16年という長い月日。
今、本当に出逢えた気がする。
私と出逢ってくれて、ありがとう。
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16周年おめでとうございます。
本当におめでとうございます!!