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 赤いリボン




「なあ、ツカサ。そのリボン貸してくれないか?」

「え?あ、うん。どうぞ」


ジタンが指差したリボンとは、私の髪に結っている真っ赤なリボンのこと。
シュルッとほどいて手渡す。


「じゃ、後ろ向いてくれ」

「うん?いいけど何するの?」

「俺がツカサの髪を結ぶのさ。これでも上手いんだぜ?」


そう自信満々に言っているが、誰もが思っているであろうことをストレートに言ってやる。


「女の子にみんなに髪のセットしてあげれば、それは上手くなるでしょうね」

「おっと、それは心外だな。今までで一度だって女の子の髪を結んだことないんだぜ?
強いて言えば………自分の髪くらいだ」


そう言ったジタンは私の肩を掴んで、半強制的に後ろを向かせた。
仕方ないので大人しくする。


「じゃあ何でまた私の髪なんか結ぼうと思ったの?」

「サラサラで綺麗じゃないか。触りたくなるって思うのが普通だろ?」

「ふ〜ん。ジタンの初体験いただいちゃったわ」

「その言い方は、何というか………」

「でも何か………それって結構意外なんだけど、



恋する乙女みたいだね。



なんつって………あれ?」


髪を触っていた手がピタッと止まる。
どうしたのかと首を傾げると大きなため息が聞こえた。


「そう………かもな」

「え、やっぱり乙女だったの?」

「いや、そっちじゃないだろ」

「恋する、の方?」

「………………」


今度は無言で髪を束ね始める。
そっか、ジタンは恋をしていたのか。


「なるほど、それで今が相談タイムってことね。
お姉さんでよければ聞いてあげましょう」

「は!?
い、いや、いいんだ。そういうつもりじゃない!」

「そうなの?悩んだらいつでも相談してね」

「あ、ああ………そうさせてもらうよ。
さ、できたぜ!やっぱり赤が似合うなツカサは」


優しい笑顔で頭をポンポンとされる。
恋してる人にダメなのわかっているけど、羨ましいなってついつい思ってしまう。


「私、このリボン大事にしたいんだ」

「おっ、それはプレゼントした甲斐があるってもんだな」

「ジタンは、その………好きな人には何をあげたの?」


何を聞きたかったのかわからない。でも何故だか、勝手に言葉が出てしまった。リボン以上の何かをあげたのか気になってしまったんだと思う。

チラッとジタンの顔を見ると、はにかんだような何とも言えない嬉しそうな顔をしていた。


「リボンをあげたんだ。真っ赤なやつ。

長い髪をおろしていたから、結んだ方がいいって俺は言ったんだ。でもそいつは、それなら髪を切るって言うんだぜ?

………こんなに綺麗なのに切るのは惜しいって、もったいないって思ったんだ」


ドキッとした。
ここまで言われればバカでもわかる。そんなことを言ったのは私しかいない。


「だから、たまにはその綺麗な髪を結わせてくれるかい?」

「し………しかたないな〜。特別、だよ?
私もジタンの髪を結んであげるね」





そんな簡単な約束。


それでも私は、ジタンの気持ちを知れたことが何より嬉しかったんだ。







‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐




長編の夢主の話です。


時期的には大分後半………のつもり。Disc3とか。


リンドブルムでジタンに赤いリボンを買ってもらったシーンが長編にあるので、気になる方は読んでみてください\(^o^)/









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