二万打祝い | ナノ
(高尾くんと黄瀬くんシリーズ)








「緑間のやつぜっっっっったい許さねー、少なくとも卒業までは根に持つ」

「高尾っち…期間が具体的すぎて怖いっス……」





どうしよう。



高尾っちがご立腹です。








いつものように高尾っちとマジバで待ち合わせてたオレは、久しぶりに話せるのが嬉しくて浮き足だってたはずだ。30分前までは確かに。

現れた高尾っちはにこにこ笑顔だったけど何かいつもと様子が違う気がして。
「何かあったんスか?」と尋ねたオレに高尾っちが珍しく感情を顕にしたから、ちょっと嬉しかったのはここだけの話っス。





「何か悩んでんのは見りゃ分かるっつーのに聞いても「オマエに話す必要はないのだよ」の一点張り!なんで何も話してくんないのかね、そんなにオレは信用できないのかよ!」

「緑間っちにも緑間っちのプライドがあるんスよ、きっと……高尾っちの前ではカッコつけたいとか」

「そんなプライド太平洋にでも沈めちまえ!!」

「ええええ」





ほんとに、珍しい。
高尾っちは基本的に激昂したり怒りに身を任せたり鬱々と愚痴ったりすることは殆どない。
確か、前にうまく自分の悩みを人に話したりできないって言ってた気がする。

もしかするとそれは、こんな風に爆発しちゃうのが分かってたから、無意識下に理性で圧し殺してたんじゃないかって何となく思った。

でも、今こうしてオレに愚痴ってくれてるってことは、つまり、そういうことっスよね。





「逆にさ、オレにだけは話してほしいって思うのは、ワガママなのかな……?」

「……っ、そんなことないっスよ!」





俯いて悲しそうに笑う高尾っち。
オレは咄嗟にその一回りちっさい体を抱き締めていた。





「き、黄瀬く…」

「好きだからこそ話してほしいっていうのは、やっぱりその人にとって特別でありたいって思うからでしょ。そりゃオレは緑間っちじゃないから、緑間っちがどうなのかよくわかんねーっスけど、少なくともオレは、高尾っちがこうして話してくれるの、嬉しかったっス!!」





驚いたようにこっちを見上げてくる高尾っちの心がちょっとでも軽くなれば、と思う。のは。
誰かに何かしたいとかしてほしいとか、思うのは、確かに取り方ひとつでワガママとか自己満になっちゃうかもしれないっスけど、そうじゃないことも沢山あるんだよ、って。
少しでも伝わればいいと思った。








ピロリン








「「え?」」

「あ、どうぞ続けて下さい」

「はっ?え、く、黒子っち?!!」





間抜けな電子音に慌てて横を向けば見慣れた水色の姿。
いやいやいやケータイ片手になにしてるんスかアンタは。

さすがの高尾っちも気づいてなかったらしく「え、黒子なにして……え、てかいま撮ったの?」と笑っている。いやいやいやいま笑うとこじゃないっス!!

けど、まぁ、高尾っちは笑ってるほうがいいし、まぁ……いっか。





「てか黒子っち、何で今写メったんスか?」

「誰得www」

「あと10分もしない内に分かると思いますよ」








そう言って不敵に笑った黒子っちの言葉の意味を、オレらが知るのは。

5分後にマジバに現れた緑色の彼を目にしたときだった。っていうのは、また別の話。








(想い、伝われ)





------------
またまたハチ様よりいただきました!
このシリーズ大好きなんですよ、ほんとに!!
嬉しいです。ほくほくです。
ありがとうございます(*´`*)


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -