「冷凍・低体温実験」

ドイツ空軍軍医中佐G. A. ヴェルツ医師はジクムント・ラッシャー博士と協力し、ダッハウ強制収容所で1942年の8月頃から1943年の5月頃まで行われた低体温症の予防と治療の手段を発見する目的の実験。

ロシア人捕虜の囚人たちは、耐寒飛行服を着せられて氷水のタンクに最大5時間、耐えることを強いられる実験と、6℃(21°F) 程の温度の屋外に戸外に裸で9時間から14時間さらされる実験。その後、さまざまな方法で体を温められる。
被験者の体温測定や血液の採取が行われ、死亡した被験者の解剖も行われた。
温める方法は、熱い湯につけるほか、親衛隊元帥ヒムラーの命令でラヴェンスブリュック強制収容所から4人のロマ(いわゆる「ジプシー」)の女性囚人を呼び寄せ、裸にさせて被験者を2人ずつの間にはさんで体温で温めさせるということまで行われた。この実験で約90人の囚人の生命が奪われた。

ナチスは、ロシア人の遺伝子がその耐寒力を、ドイツ人よりも強いものにしていたかどうか疑問に思っていたという背景もある。

実験結果は1942年10月にニュルンベルクで行われた医学会議で、ラッシャーにより「低体温の防止と治療」と題して、またヴェルツにより「危険な点にまで冷却した後の温め直し」と題して、それぞれ発表された。

しかしこの実験はナチス本部は東部戦線での巻き返しを図るための有力な報告として評価したが、学術的には何の価値もない。

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