「衣装」
古代以来の宮廷装束に呪符が刺繍されているものがある。
これらは慶事の装束でもあり、着用者の寿福や護身を願ったものであると考えられる。
男子装束の直衣(のうし)や束帯に盤領(あげくび)と呼ばれる詰襟状の部分があり、その盤領に指南針にある印が刺繍されている。
女性装束でも十二単(じゅうにひとえ)の長袴前に長く垂れる腰(腰紐)の先に同じ印が刺繍されている。
この刺繍は竜鼓と呼ばれる紐飾りで紐を固定する重りの役目があるという。
これらは共に呪符であり、竜鼓の刺繍は皇后装束や斉王代の装束にも見られて伝統的な意匠のようである。
わが国の軍服の軍帽の頂きには階級に準じて五芒星が刺繍されていた。
弾除け、護身の呪符であったようだ。
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