私を見つけて
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784 名前:インターネット怪談コンテスト 電脳百物語 投稿日:2001/08/19(日) 10:01
「私をみつけて・・・」その1

ここに引っ越してきて5年になるが未だに隣近所の人との付き合いはあまりない。
 バス停に向かって歩く途中、最初の曲がり角の家の奥さんが、
いつものように家の前を掃除している。オレは軽く会釈をして通り過ぎる。
「あの奥さん、いつもこの時間に掃除しているな。それにしても顔色が悪い、
どこか悪いんじゃないだろうか。」

 毎朝、顔を合わすのだが 挨拶以外、口をきいたことはなかった。


785 名前:インターネット怪談コンテスト 電脳百物語 投稿日:2001/08/19(日) 10:01
「私をみつけて・・・」その2

 ある日の晩、俺はタクシーで帰宅した。
すると、家に着く最後の曲がり角、あの家の前で例の奥さんが掃除をしている。
「夜中の十二時・・・、おかしいな」

オレはタクシーの運転手に
「今の奥さん、なんでこんな夜中に掃除なんかしてるんだろうね」と、話した。
だが、運転手は「えっ? 今、人なんていました?」

なぜか運転手は、絶対に人はいなかったと言いはった。


786 名前:インターネット怪談コンテスト 電脳百物語 投稿日:2001/08/19(日) 10:01
「私をみつけて・・・」その3

 翌日。家を出ると、曲がり角の家の前にパトカーが2台停まっている。
あの奥さんの家だ。何かあったのだろうか?
気にはなったが、会社があるためオレは急ぎ足でバス停に向かった。

その日はなぜか一日中そのことが気になっていた。


787 名前:インターネット怪談コンテスト 電脳百物語 投稿日:2001/08/19(日) 10:04
その4

 オレは家に帰るなり妻に聞いてみた。
「今朝、角の家にパトカーが停まってたけど何かあったのか?」

「自殺だって。
あそこ、未亡人の奥さんが一人で住んでたんだけど、
隣の家から変な匂いがするって警察に通報があって、
おまわりさんが見に行ったら、
中で奥さんが首吊って 死んでたんだって。」

「へえ! 昨日まではちゃんと掃除してらしたのになあ・・・」


788 名前:インターネット怪談コンテスト 電脳百物語 投稿日:2001/08/19(日) 10:05
その5

「何言ってるの?
死後一ヶ月くらい経ってて
かなり腐乱してたんだって」

「そんな馬鹿な!
  俺は毎朝・・・それに昨日の夜も
          ・・・そんな!」

翌日から、その奥さんの掃除する姿はなかった。

あれはもしかしすると、自分を早く見付けて欲しいという合図だったのだろうか?

(終わり)
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