呼び寄せるもの
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813 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/04/25 12:03
兄の話です。

兄が家を出て近くのアパートに引っ越した。
兄の部屋は2階の一番奥。
2階の廊下は非常階段のように鉄でできていた。
だから人が歩くと当然足音が響く。

で、その夜、兄が一人で部屋にいると
カンカンと廊下を歩く音がする。
その足音が兄の部屋の前に止まり
コンコンとノックの音が聞こえた。

兄は彼女か友達だろうと思って出てみると
誰もいなかった。

そんなことが何回か続いた。
兄の友人もノックの音を聞いている。

そのうち部屋の中で人の気配がするようになった。

部屋に帰ってくると、誰もいないはずの部屋の中に
誰かがうずくまっている。
だけど、電気をつけると誰もいない。


814 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/04/25 12:04
私も兄に呼ばれその部屋に行ってみた。
私が部屋に入り電気をつけようとすると
「そこにいるよ!」
兄は私の手を押し止め部屋の一点を指した。
「その影の所にいるだろう、そこだよ!」
だけど、私自身は幽霊とか見たこともなかったし
別に何にも感じなかった。

私は兄が神経過敏になってるんだと思った。
昔からツッパリタイプの兄だったので
ちょっと意外な気もした。

案の定、電気をつけてもそこには何もいなかった。


815 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/04/25 12:06
あとで兄の友達から別の話を聞いた。
部屋で徹夜マージャンをやっていると
時折窓の外を何か白いモノが通り過ぎるというのだ。
あまり新しくないアパートだから窓は磨りガラスで
外ははっきりとは見えない。
周りは家が建て込んでいるので
自動車のライトが差し込むような場所でもない。
最初は仲間が悪戯しているのかと思ったが
窓の外にも廊下にも、誰もいないし何も白いものなどなかった。

ある日、やはり仲間と徹マンしていて、
部屋の端にあるベットで彼女が一人で横になっていたのだが
その彼女が突然苦しみだして、
自分で自分の首を締め始めた。
兄と仲間が驚いてその手を振り解こうとしたのだが
とても女とは思えないような力で締め付けている。
やっと男5人がかりで手を外し押さえつけたのだが
気を抜くとまたすぐに首をしめようとする。
その日は朝までそんな状態が続いた。


816 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/04/25 12:06
しかし、朝になってみると
彼女はケロッっとして
自分がしたことなど何も覚えていなかった。

この部屋で前に人が死んだとかそういった話は聞かない。
近くに遺跡はあるものの妖しげな噂もない。
以前大工をしていた父は
その部屋は方位がよくないからだという。
結局兄はそのアパートを引き払い
別のアパートに引っ越した。


817 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/04/25 12:08
今度の部屋は1階だった。

しかし、前の部屋ほどではなかったが
やはり妙なことがおきた。

ある朝、私が家を出ようとすると
兄がやってきて
「朝方、お袋とお前、うちに来なかったか?」
と聞くのだ。
今度の兄のアパートは家から5分ぐらいの所だが
私も母ももちろん行っていない。

「俺が寝てると誰かが玄関から2人で入ってきて
俺の頭のところで覗き込んでたんだけど」

私は寝ぼけたんだよとか何とか言って
その時はあんまり取り合わなかった。
母もその手の感覚には疎いのだ。
しかし父は割と霊感が強いらしく気にしており
結局父の知り合いに見てもらうことになった。


818 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/04/25 12:09
知り合いの人が言うには、原因は
アパートや兄の方ではなく、兄の彼女の方だった。
実は兄の彼女は非常に霊感が強く
どうもあちこちから呼び寄せてしまったり
あるいは引き込まれてしまうらしい。

彼女の話を聞いてみると、そういうことは日常茶飯事らしい。
交差点の真中に子供の頭だけが見えたり、
昼日中、道を歩いていて、人とすれ違ったとたん、
その人が手首だけを残して消えてしまったりする。
普通の人だと思っていただけに、恐いと思うより先に
びっくりしたそうだ。


819 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/04/25 12:10
以前、海に行った時も
そこは崖の上で見晴らしもよく
胸の上あたりまで手すりが付いていたのだが
崖下の波しぶきを見ているうちに
それがおいでおいでしているように思えて
気が付くと身を乗り出して
今にも落ちそうになっていたそうだ。
あんなに高い手すりなのに
どうやってそんな体勢になったのか
自分でも分からないと言う。

そうした影響が兄にも現れたということだった。
父の知り合いによると
今の所さほど実害はないらしい。
結局お祓いしてもらい
身を守る方法を教わってからは
あまり妙なことは起きなくなった。

その後兄は彼女と結婚したのだけど
ほどなく別れてしまった。
今は別の人と再婚して、何事もなく暮らしている。


820 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/04/25 12:11
長文失礼しました。
ベタな話ばかりなのですが、脚色はほとんどありません。
私が本人からじかに聞き、あるいは目にしたことばかりです。
でも正直なところ、
私は一種の神経症みたいなものだと思っています。
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