近づく声
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799 名前:楢山 投稿日:03/02/12 02:00
私が学生時分下宿していたアパートでの体験であります。
私の部屋は道路に面した二階にありました。その夜も、いつものように道路側にある窓の
正面に布団を敷き寝ておりました。正確には、寝るとは無しに寝ている、まだ脳の一部は
どこか起きているといったような中途半端な状態で床に入っておりました。
そんな状態で暫くして、窓の外から二人の男性の声が聞こえてまいりました。夜中の二時
くらいだったと思います。
その二人の男性の会話を聞くと、ひとりがもう一方を制止しようとしているといった内容
でありました。私がしっかり起きていれば、泥棒かもしれないという用心から窓を開け
様子を窺うこともあったのでしょうが、そこは半分寝ぼけていましたから、布団に入った
まま、こんな時間に何だろうくらいにしか、この時は考えていなかったように思います。
「やめろって」「うるせーなぁ」「いいからやめろって」「いいんだよっ!」「やめろっ!」
二人の男性はこんなような問答を繰り返していました。
しかし、よくよく考えてみると、はじめ窓の外から微かに聞こえていただけの会話が、
なぜかすぐそこで聞こえている事に気付き、段々と意識が正常な状態へと戻ってまいりました。
「いいんだよっ!うるせーなっ!」「馬鹿 やめとけって こいつが起きちまうだろっ!」
それを聞いた瞬間、寝ぼけていた頭は一瞬で正常に戻りました。
すぐさま起き上がり、部屋の明かりを付け、テレビを付け、一呼吸おいて窓を開け外
を見ましたが、当然誰もいませんでした。それもそのはずです。最後の会話は完全に私の
耳元近くで聞こえていましたから・・・

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