▼携帯電話擬人化パロ
携帯→平助
持ち主→千鶴


普通はアラーム機能を使い、持ち主を起こすのが携帯の役目だ。
だけどオレの持ち主は大抵自力で目覚めてオレを起こす。ねぼすけなオレにとっては有り難い気持ちでいっぱいだ。


「ん、今日も時間通り」


あくびを噛み締めながらぱたっと開きオレを起こす。
おはよう。今日も時間ぴったりだな。
持ち主の女の子、千鶴はかわいい。こんなにかわいい子の寝起きを近くで見れるのってオレだけの特権。
ああよかった。千鶴の携帯で。
BLとか擬人化の小説ばっかり書いてる奴だったら寝る暇ねーぞ、と仲間から聞いたことあるし。その点千鶴はそういうことに携帯を使わない部類の人間だから安心安心。

「充電器にセットしてっと…」

おっ、ちょうど腹減ってたんだよなぁ。さすが千鶴、タイミングばっちり。
オレの大きさにフィットするふわふわの携帯ポーチはオレのお気に入り。女子趣味なのはまぁ仕方ないとして、大切に使われているってすごく実感できる。
うん、今朝も元気だ。


(ピピピッ)
あ、着信きた。登録名は…沖田先輩。くそっ、あいつかよ朝っぱらからうっせえな。
ラッキーなことにマナーモード状態のオレは知らせる役目はお休み中。へっ、ざまぁみろ!
ひとりガッツポーズをしていると千鶴が戻ってきた。そろそろ着替えるよな。しゃーねえ、目、閉じとこ。
だってさ、やっぱ携帯だからってジロジロ観察すんのはアレだしさ。
見られるのは慣れてっけど見るのは苦手。よくカメラ機能でブレるのもそのせい。性能が悪いとも言う。
案の定着替え始めた千鶴を最初だけ確認して目を閉じた。

「着信きてる、」

もう気づいちまった。チカチカ光り着信を告げる悲しき高性能携帯の定め。
ってええええ!ちょ、千鶴さんんんん服、服着てる?服!着てないよね、うん!
今まで見ずにやってこれてたのに開かれたら終わりだって!ダメダメダメ!あれっなんでこんなに焦らってんだオレ。沖田のせいだバカ!

「………まぁ後でいっか」

よかった!本当に!
あ、大丈夫だぜ沖田、情けをかけてやってイルミネーション点滅させとくから。
生着替え中の千鶴を見る、というオイシイ……いや、やめとこう。悟りを開け、オレ。無心だ無心になるんだ。例え携帯とて自然と一体になることは可能なはずだ。悟れ、悟るんだ、オレ。
定位置の携帯ポーチに入れられやっと目を開ける。
で、沖田からの着信を告げると直ぐに返事をするらしく、通話ボタンを押した。
電話もメールも苦手だ。ちゃんと相手の携帯に届いてるか心配。まぁ高性能だし圏外じゃねえから無用な心配なんだけどさ。
会話する千鶴と、聞こえてくる沖田の声。
今は楽しそうだけど、落ち込んでる時とかいっぱい着信受信を確認するから眠れない。千鶴より先に寝るなんて絶対にしないけど。
何度も何度も確認しては、何も表示されてないオレに溜め息をつく。オレが悪い訳じゃないけど、なんだか居心地が悪くなる。
そんな千鶴の傍にいつも居たからか、だいたいの気持ちは察することができるようになった。
だからってオレにできることなんて少ねぇし増えないんだけどさ。

「そろそろ行こうかな」

会話、終わったか。沖田が迎えに来るんだって?
朝からあっつい。お腹がいっぱいだからねっむい。
オレの手を握ったままの千鶴の手は、いつも触れる指より数倍あつかった。
よっしゃ!今日も頑張っていこうぜ。見ててやるからさ。






20100726

某携帯CMを見て、つい。








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