「腹、痛い」
身体を丸めてごろんと横になった平助が呟いた。
「夜中に腹を出して寝たのか」
「ちーがーう」
「では、悪いものでも拾い食いしたのか」
「なんでそんな間抜けキャラなの。オレの印象ってそんな?」
文句を利く口はあるが、やはり喋るのは辛いらしい。声にはいつもの活気がない。それに、眉間に寄った皺や細められた眼が腹痛の程度を表していた。
「薬は飲んだか?」
「飲んだけど痛い」
「相当だな」
「ハラマキでもしよっかなぁ」
「貸してやろう」
「…サンキュ」
と言って渡したのは毛布。それを腹にぐるぐる巻きにすれば、平助は長い長い息を吐き出した。
普段弱らない奴が弱るというのは、こっちの調子までも狂わせるのか。
外部の傷なら相手にもしないくせに内部のものとなると中々そうはいかない。
うんうん唸り転がる平助にもう一枚毛布をかけて立ち上がる。
「温かいうどんなら食えるだろう」
「作ってくれんの?」
「腹を冷やさずに待っていろ」
「あいあいさー」
へらっと笑い毛布にくるまった。
さて、腹を温めさせて寝かすとするか。
葱を入れて、卵もとかしていれてやろう………待て、これでは俺はまるで
「…………母親?」
水が沸騰し始めた。
20100601
斎藤さんに腹痛でごろごろと丸くなる平助くんを看病してもらいたかった願望からの産物=うどん食いたい