(ミハイル×サト/ふたごの村)


料理の練習をしている、という言葉は、彼女の声の素晴らしさによってオレの意識から飛んでいった。料理、加えて食事にはあまり食指を動かされないが、頑張るサトの姿は美しい。出来る限り応援するよ、とかうっかり言ってしまったことは認めるけれど、それから何故か毎日豆腐バーガーばかり食べることとなってしまった。

「ミハイルさん、今日も豆腐バーガー作ってきました」

お口に合うといいのですが、と差し出された豆腐バーガーは日々サトに作られることによって、最初は崩壊していた豆腐とバーガーの要素も今は一つの個体として立派な造形美を保っている。洋食は苦手だが湯豆腐ほど美味しいものはないと賛美するオレは、バンズを超えて豆腐に行きつく瞬間を楽しみにしないと、食べる気力が失われるものの、彼女がオレに豆腐バーガーを渡すならそれはオレにとっての使命だろうし、精一杯味わって食べるようにしている。

「うん、美味しいよ、サト」
「本当ですか、嬉しいです」

サトの高いトーンの言葉を聞けただけで少しの苦手意識など報われるどころか、オレは確実に豆腐バーガーを好きになっていった。それでも食指に対する偏りはまだまだ多いが、これは大きな発展と呼べるだろう。
いつ聞いたことだろうか、サトが豆腐バーガーばかり作ったのは、オレに少しずつ好き嫌いを無くしてほしいだから、だと。豆腐バーガーからパンの料理に広がり、少しずつ洋食に慣れてきた成果を見ると、彼女の可愛らしい作戦は成功したと言えるだろう。
でも、忘れないでほしい。オレは、キミの料理だからこそ、美味しく食べられるのだということを。と、彼女に無言で伝えようかと思う。




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