(グスタファ×アヤ/ワンダフルライフ)
グスタファのとんがり帽子にちょこんと結わえ付けられた白い花は、唯一彼が束縛し得るものだった。変わらないように見えるその花は、誰も預かり知らぬ所で次々と入れ替えられているのだろうか。次々と捨てられる、顔の同じ女のように。
「どうしたの?考えこむような顔をして」
「いえ、何でもないの。お花が綺麗だなあ、って」
生き生きとして見えるその花は、
もしかしたら造花なのかもしれない。だけど、見るごとにその美しさと生命感は溢れ、造花というにはおかしいぐらいで。ただ生花だとすると、本来朽ちゆく運命の命がいつまでも衰えないことに疑問を覚える。
「この花かい?僕のお気に入りなんだ」
誰に向けるでもなく莞爾として笑い、手でリズムを取り始める。まるで、喜びを歌で表現したいとでも言うように。
「あなたの、恋人みたい」
「じゃあ、アヤさんはこの花なんだね」
ずっとぼくと一緒でね、と屈託無く言い放つ彼を見て、もしかしたら永遠の命はあるのかもしれない、と彼のサングラスの向こう側をぼんやり眺めた。