(タケル×魔女さま/わくわくアニマルマーチ)


「アタシ、退屈が大っ嫌いなの。世界はもっとどんどん変わって、アタシが面白いようになればいいのよ」

バニラとチョコの甘ったるい香りが満載の部屋で、僕は魔女さまの話を聞いていた。

「カエルになってたのだって、ただの退屈しのぎなんだから。決してアタシが失敗したとか、そういうわけじゃないんだからね!ちょっと、聞いてるの、タケル。それ、ちょーだい」

ピカピカに磨かれた銀の長いスプーンで、大きなパフェのてっぺんにとぐろを巻くソフトクリームを優しく掬う。魔女さまの顔の前に突き出すと、彼女の小さな口は白いソフトクリームを一口で頬張った。口の端に付いた残りを、ぺろりとゆっくり舐める。蛇、或いは何らかの爬虫類みたいな動きだなぁ、と僕が思いながら見ていたことは内緒だ。

「ねえ、アタシを退屈させることは許さないわよ。だから、アンタだけは、」

魔女さまと僕との距離がゼロセンチメートルになって、濃厚な香りが更に鼻をつく。テーブルの上にひしめく色とりどりのお菓子が、全てガチャガチャとそのガラスの身を鳴らした。
耳元に触れる息が熱い。土臭い手袋が、魔女さまの体を包んで、銀色の長い髪を梳かす。

アンタだけは、どうかそのままで。声が脳内に囁くけれど、苦笑いをして、これからも君を愛することを誓うしかないんだ。
だって、『そのまま』でいるのは魔女さまの方だから。僕は残酷な言葉を、胸にしまった。




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