(カミル×サト/ふたごの村)


雨の中に取り残された、紫。

鼻腔には水と土の匂いがいっぱいに広がって、花の存在などそこにないようだ。でも、視界で動くあなたの手はとても白く、揺れる帽子が静かに花開く。手渡された鉢には、一本の竜胆。つぼみの姿がとても気高く、凛として佇んでいる。
竜胆の花言葉は……。
雨に掻き消されて聞こえない声も、想いとなって心に響く。
私はただ、鉢を持ったまま彼の胸に顔をうずめ、下を向いていた。
顔をつたって、小さなしずくや大きなしずくが、ぽたりぽたりと、つぼみに落ちては消散する。
あなたから伝わった悲しみが、目から溢れて、またあなたへと戻って。


花に泣く。





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