今日は日直だったので、一ノ瀬さんちの双子とは一緒に登校しませんでした。
というか、私はいつ彼らと登下校を共にする約束をしたのだろう?


教室の花瓶の水を変えて少し掃除をしたり、日誌に今日の時間割を書いたりしていると、徐々にクラスメイトが集まってくる。
私の席は窓側の後ろから二番目。目の前の席はハヤトで、右はトキヤだ。
ハヤトはことあるごとに後ろを振り向いてくるし、トキヤは居眠りしてる私を起こして後でガミガミ言ってくる。
なんでこんなにこの双子に振り回されてるのか…、いや、もう考えるのは止めよう。


「ホームルーム始めるぞー」


担任の先生が教室に入ってくると、みんなが慌ただしく席に着く。
でも今日は少し景色が違った。


「一ノ瀬双子は風邪で休みな」


先生の一言に教室が少しざわつく。
珍しい。二人が休むなんて初めてのことだ。
そうか、あの二人でも風邪を引くことがあるんだなぁ。ハヤトは脳天気だし、トキヤは予防を怠らないはずなのに。
日誌の欠席者欄に一ノ瀬×2と書いて、それを机の中にしまった。
彼らのいない一日が始まる。



それはそれは静かな一日でしたとも。
後ろを振り向いてはちょっかいをかける人も、人の安眠を妨害する人もいなかったわけですから。

と思っていたのはついさっきまで。さて日誌も先生に渡したし帰ろうとしたとき。
運悪く届いたメールはトキヤからだった。
何か作りに来てくださいとだけ書かれていた。しかも件名欄に。
かなり体調が悪いのではないだろうか…。



「あらまひどい」
「ううん…名前ちゃぁん…」


鍵は開けときますとまたメールが来た後に彼らの部屋に訪れれば、各自の部屋で生死をさ迷う双子がいた。


「ひどい熱」
「うー…頭がガンガンする」
「何か食べれそう?」
「食欲ない…」


思いのほか状況はよくないようだ。とりあえずダウンしている兄の方を寝かせ、次に弟の部屋に向かった。


「トキヤ、大丈夫?」
「頭がガンガンします…」
「うん、何か食べる?」
「食欲ありません…」


最初から同じ風邪だろうとは思っていたけど、わざわざそこまで話を合わせなくても…、いや、これが双子か。

まぁいい、とりあえず何か作りに来いと言われたからには何か作って食べていただかないと。
私は鍋に火をかけて、彼らに初めての手料理を振る舞うことにしました。



「名前ちゃん、あーんして」
「なに言ってん、」
「私にもお願いします」


一ノ瀬サンドならぬ病人サンド…!
お粥が出来たからリビングに呼べばこれだ!真っ赤な顔して二人とも意外と元気なんじゃないの!?


「いいから自分で食べなさい!」
「手に力が入らないんでs」
「ちょ!よしかからないで!!」
「ああっトキヤずるいっ」
「こらなにしてんの!」


その後なんとかお粥を食べて薬を飲んだ双子は、各々のベッドですやすや眠りはじめました。
寝顔なんて初めて見たけど…ほんとそっくりだなぁ。

なんて、感心して眺めていたのが悪かったのか、私は翌日にまんまと風邪を貰いました。








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