幻でもいい
現実を、つきつけられた。
自分はもうすぐ消えてしまう存在なのだと。
自分の肉体は三千年前に滅び、魂だけがあの変な首飾りに封印されていたのだと。
訳がわからない。
現に今此処に存在しているのに、バクラが…消える?
信じろって、言う方がどうかしてる。
「…悪い」
いつも絶対誤らないくせにこんな時ばっかり、ずるい。
唇を噛み締めて溢れてくる涙を必死に抑え、バクラのシャツの裾を掴み、隠すように胸元に額を押し当てる。
そのままバクラ抱きしめられたまま、声を上げずに泣いた。
未だ残るバクラの感覚。
だけどもうバクラはいない、私の手の届かないところにいってしまった。
神様なんて、信じた事なんてないけど
「神様…」
幻でもいい、幻でいいから……もう一度だけ、
彼と廻り逢いたい
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